2024年04月19日( 金 )

不動産のカーボンニュートラルでESG投資、バリューアップに先手(前)

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CO₂排出量の削減、PR段階から一歩前進へ 

1.(株)日本省電 代表取締役社長 久保 欣也 氏
(株)日本省電 代表取締役社長
久保 欣也 氏

 「大手企業では、CO₂排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル(脱炭素)に取り組む企業が増えつつある。政府が掲げる2030年に向けたCO₂排出量の大幅削減計画や『2050年CO₂排出量実質ゼロ』の目標に向けて、大手企業は21年度、22年度のCO₂排出量の削減計画のロードマップ作成を始めている。CO₂排出量の削減を目指すため使用電力に再生可能エネルギーを利用する取り組みは、これまでのフラッグシップ的な一部の施設におけるPR観点での実施から、今後は一定の予算内でCO₂をより多く削減できるよう量の観点で工夫する段階に進む企業が増えるだろう」――と、企業の使用電力の再エネ化、調達コスト削減など電力調達の最適化を支援する新電力である(株)日本省電の代表取締役社長・久保欣也氏は話す。 

 経済産業省で議論されている第6次エネルギー基本計画により、企業の再エネ利用の方針が決まるといっても過言ではなく、世の中で推奨される方針は、企業コンプライアンスとして積極的に進めざるを得ないという事情もあるようだ。 

大規模ビルではRE100の動きが加速 

 不動産ファンドやJ-REITに海外の機関投資家からの投資を呼び込むため、多くの大規模ビルでは、グローバル・ルールや国際基準を基に資産運用されている。不動産市場に多くの投資が流れ込み、日経平均株価も高い状況では、とくに工夫しなくてもJ-REITの相場は高く、買いが入る。しかし、投資の流れがいったん引き締まると、海外からの投資をいかに呼び込めるかが課題となるため、ESG投資に対応できるようESG銘柄として不動産の環境価値を高めておきたいとする、使用電力の再エネ100%化へのニーズもある。 

 日本省電では、サンフロンティア不動産(株)と協業して、オフィスビルのテナント向けにRE100などに適合する再エネで発電された電力を提供している。通常の電力に、再エネ発電の環境価値を証明する「J-クレジット」を付けることで、1テナントからの要望にも対応している。 

 「ビル全体で使用電力を100%再エネ化するケースもあるが、そうするとオーナーと全テナントの負担するコストが増加する。そのため、テナントから再エネ由来電力の供給の要望がある場合は、不動産の流動性を損なわずにテナントニーズにも対応する必要があり、CO₂を排出しない再エネであることを証明するJ-クレジット(電力証書)を1テナント、1フロア単位で購入する方法が望ましい」と久保氏は話す。 

オフィスビルテナント向けの再エネ電力の供給

(つづく) 

【石井 ゆかり】

(後)

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