2022年06月29日( 水 )
by データ・マックス

糸島市が「輝く小さな街」世界3位に選出(後)

「輝く小さな街」世界3位の選出を新たなまちづくりの契機に

糸島市 企画部 ブランド・学研都市推進課 (以下、推進課)

 ――「輝く小さな街」世界3位の選出を受けて、今後取り組んでいきたいことは何でしょうか。

糸島を代表する景勝地「二見ヶ浦」
糸島を代表する景勝地「二見ヶ浦」

 推進課 これまでに一定の評価をいただいている観光や食、生活の場としてだけでなく、新たに“スモールビジネス”の場としての評価もいただけたと考えております。今後の反応などを見ながらになりますが、テレワークや創業支援等の環境整備も検討していかなければならないと考えています。

 また、今回のMONOCLE誌への掲載により、コロナ禍終息後には海外からの問い合わせが増える可能性もありますので、多言語対応など、外国人を受け入れるための準備も進めていく必要があると考えています。

 ――世界3位の選出は、豊かな自然はもちろんですが、九州大学伊都キャンパスの誕生にともなう「学研都市」としての存在感も理由の1つだと考えられます。推進課ではこれまで、主にどのような活動を展開されてきましたか。

 推進課 当課ではこれまで、九州大学と糸島市との連携協力協定に基づき、まちづくりのあらゆる分野での連携を進めてきたほか、民間ベースも含めて毎年約100件の連携・交流によるソフト面でのまちづくり推進、大学とのワンストップの連携窓口の設置、さらには市独自の固定資産税の特例制度の設置など、さまざまな取り組みを行ってきています。

 ――今後、どのような活動に取り組んでいかれますか。

 推進課 今後の活動方針としましては、まずは九州大学連携地域の活性化に注力していきたいと考えております。

糸島の象徴、筑紫富士としても知られる「可也山」
糸島の象徴、筑紫富士としても知られる「可也山」

 九州大学連携地域内の「泊カツラギ地区」に留学生等の居住・宿泊施設、生活利便施設、文化・交流施設、研究・コンベンション施設等の立地導入に向けた「九州大学糸島市国際村構想」を策定し、九州大学の留学生や外国人研究者を呼び込み、地域の国際化、国際交流、国際理解などを加速させます。20年8月には240室の留学生寮がオープンし、さらに21年には全85室の国際ホテルが民間主導のもとオープンする予定ですので、この地域を核とした多文化共生エリアの形成に取り組んでまいります。

 さらに、研究者や民間企業、地域住民が自由に集い交流し、意見や情報交換を行うことで、新たなものを生み出すオープンイノベーション機能や、自然環境に配慮した生活機能を備え、九州大学の基礎研究を企業等とともに実用化・事業化につなげる研究機関群の創出を目指す「糸島サイエンス・ヴィレッジ構想」を策定。産学官民が力を合わせて、その実現に向けて尽力しています。

 ――最後に、今回の世界3位選出によって期待される効果について、自由な意見をお聞かせください。

 推進課 世界的な情報誌に評価されたことにより、市民の皆さまとつくり上げてきた地域の魅力を再認識することができました。とくに、今回はコミュニティ力も評価されるなど、市民力によるところも大きく、市民の自信と郷土愛の醸成につながると考えています。

 また、豊かな自然と都市へのアクセスなど、生活利便性の高さに加えて、外部の人が馴染みやすいといった移住者に対する寛容さも手伝い、多くのクリエイティブな人が集まり、面白いビジネスが生まれるなど、スモールビジネスの拠点としても評価を受けたことは、非常に嬉しく思います。

 これをきっかけに、コロナ後の新しい社会に向けて、糸島の地から新しいビジネスが生まれ、市民生活がより豊かになることを期待しております。

推進課のこれまでの取り組み

(1)九州大学・糸島市の連携協力協定

 全国的に人口減少・少子高齢化が加速度的に進むなか、伊都キャンパスに約2万人の学生・教職員などが通う九州大学のもつポテンシャルは非常に高い。また、九州大学の知財活用は、地域貢献だけでなく、起業や雇用創出にもつながる。
 糸島市では、2010年5月に九州大学と「連携協力協定」を締結し、まちづくりのあらゆる分野で連携を進めている。

(2)毎年約100件の連携・交流

 地域や行政が持つ課題を解決する研究事業、九州大学研究者の各種審議会委員への就任、九大生による小中学生への講義、教授などによる市民向け公開講座、九大生による市内の空き家のリノベーション、九大生の夏祭り参加、さらに過去には交流補助金の交付や職員間人事交流など、民間ベースも含めて毎年約100件の連携・交流を展開。これらの活動を通じて、「九州大学があるまち」という市民意識の醸成に取り組むとともに、ソフト面でのまちづくりを推進している。

(3)行政側のワンストップ窓口の確保

 九州大学の魅力を地域の活性化や学術研究都市形成につなげようと、大学との連携窓口となる部署「ブランド・学研都市推進課」を設け、九州大学関連の事案に対して、ワンストップで対応できるような体制を整えている。

(4)固定資産税特例制度

 産学官によって策定された「九州大学学術研究都市構想」では、九州大学を知の拠点として位置付け、糸島半島に学術研究都市を構築することを目的としている。
 糸島市では長期的視点に立って市の将来像を定めた「都市計画マスタープラン」において、九州大学周辺地域を「九州大学連携地域」と位置付けている。同地域において、九州大学との連携を意識した学術研究都市にふさわしい機能(居住・研究・交流・生活利便・産業など)を周辺の自然環境に配慮したかたちで整備し、企業・研究施設の立地や学生・教職員の居住を促進するために、市独自の固定資産税の特例制度を設置した。

(了)

【代 源太朗】

(前)

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