• このエントリーをはてなブックマークに追加
2021年02月15日 07:00

ドメスティックバイオレンスで日本マクドナルド元社長・原田泳幸逮捕の衝撃!~日本版カルロス・ゴーンの異名をもつ「壊し屋」(4)

 「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」(何でも食う犬さえそっぽを向く)ということわざがある。夫婦喧嘩は一時的ですぐに和合するものだから、他人が仲裁に入るのは愚かであるという意味(『広辞苑』より)。夫婦喧嘩の果てに、日本マクドナルドホールディングス(株)の原田泳幸(えいこう)元会長兼社長が逮捕された。「プロ経営者」として一世を風靡したスーパースターが、ドメスティックバイオレンス(DV、家庭内暴力)によって失脚の時を迎えようとしている。原田氏の「プロ経営者」の足跡をたどってみよう。

原田氏の子飼いのFC店オーナーを一掃

 原田泳幸氏はこの瞬間を待っていた。2010年2月9日、09年12月期の決算発表の席上、大規模閉店を発表した。向こう1年で全店舗の1割以上、433店を閉鎖する。閉店にともなう費用として営業利益の46%に相当する特別損失120億円を計上するという大出血を決断した。当期利益が大幅な減益になることもいとわなかった。

 意外な発表に会場はどよめいた。09年12月期決算では、上場以来最高利益を記録しているため、大規模閉店は業績低迷が理由ではない。大量閉鎖の真の狙いは、日本マクドナルドHD創業者の藤田田氏の子飼いのFC店を一掃することにあった。

 原田氏は閉鎖の対象になる店を「負の資産」と名付けた。厨房が狭く全メニューを提供できない小型店舗である。藤田の子飼いのFC店は脱サラ組なので、どうしても小型店の零細経営者が多かった。

 直営店のFC化は、彼らを切り捨てるのが目的だった。直営店のFC化の過程で、経営体力のある地方の会社を、一定のエリア内のすべての店舗を運営する「エリアFC」のオーナーにした。大量閉鎖しても、エリアの営業に支障が出ないようにするためだ。

 原田氏は社長に就任して以来、6年間にわたり直参旗本との暗闘が続いたが、433店という大規模閉店という大ナタを振るって、最大の抵抗勢力だった直参旗本を一気に淘汰したのである。抵抗勢力を完膚なきまでに打ち砕く剛腕が「壊し屋」原田氏の真骨頂であった。

大粛清で、マックには現場に通じている幹部がいなくなった

 抵抗勢力を叩き潰した原田氏は、日本マクドナルドの絶対君主の独裁者となった。藤田時代の経営幹部は次々とバスから降ろされた。原田時代には役員は「3回転」した。藤田時代の役員はすべて去り、原田氏がアップルから連れてきたメンバーも、まったく残っていない。藤田氏の流儀に慣れた役員、社員、FCオーナーはことごとく粛清された。

 原田氏の流儀は、生き馬の目を射抜くような、切った張ったの勝負を陣頭に立って遂行する経営スタイルが身上だ。勇猛果敢な侍大将である。しかし、外食企業の仕事は初めてで、現場に精通しているわけではない。現場に立って消費者の動向をキャッチする感度はゼロだ。すべて粛清したため、現場に通じている幹部は誰もおらず、マックはぺんぺん草も生えない荒地になった。

 失速するまでにはさほど時間はかからなかった。日本マクドナルドHDの業績は11年期をピークに2期連続の減収減益となった。13年8月に年度の途中にもかかわらず、事業会社の社長兼CEOをサラ・カサノバ氏に譲った。14年3月、カサノバがHD社長に就任して、原田は代表権のない会長になり、マックの経営の第一線を退いた。米国本社は、原田独裁体制に見切りをつけ、現場の経営が豊富のカサノバ氏を社長に送り込んだ。

 日本マクドナルドの底なし沼に沈むような業績悪化に、原田氏を「プロ経営者」ではなく、「疫病神」と呼ぶ声が高まった。その批判に応えたのが、先に挙げた「プロ経営者ではなく、一番熱心な雇われ社長」という自己規定だ。

▼関連記事
原田泳幸 関連記事一覧

 原田氏は、藤田流経営システムを解体するという目標を達成した時点で、原田氏の「一番熱心な雇われ社長」の任務は終わったといえる。それを機に退いていれば、マクドナルドでの名声に傷がつくことはなかったろう。再生までやろうとして晩節を汚した。原田氏は「壊し屋」のプロであって、立て直しを仕事とする「リフォーム」のプロではないからだ。

(つづく)

【森村 和男】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2021年03月07日 07:00

【新・「電通公害」論】崩れ落ちる電通グループ~利権と縁故にまみれた「帝王」の凋落(2)

 日本の総広告費はGDPの拡大とともに年々増加の一途をたどり、今や7兆円に迫る規模に達している。電通は商業テレビがスタートした1953年以来、そうした日本の総広告費の...

2021年03月07日 07:00

別府市のマンション設計偽装~大分県は早急に県内の建物調査を行うべき(5)

 『別府市付近には、西日本を横断する断層帯である「中央構造線」に連なる断層帯がいくつもあります。大分県のホームページでは別府付近の断層を震源とする地震や南海トラフを震...

家族的な風土で社員の信頼関係を高め さらなる組織力強化を図る

 少子化に歯止めがかからないなか、政府は「働き方改革」を掲げ、IT活用による生産性の向上や労働環境の改善を促進。こうした取り組みによって離職率の低下と人材が確保できる...

2021年03月06日 08:00

極細1mmのふわふわ金糸モンブラン、太宰府天満宮参道で話題のソフトクリーム

 福岡の観光地・太宰府天満宮の参道にある金糸モンブラン専門店「香菓(かぐのこのみ)」が話題となっている。昨年12月25日のオープン以来3日間で1,000人を超える人気...

2021年03月06日 07:00

【新・「電通公害」論】崩れ落ちる電通グループ~利権と縁故にまみれた「帝王」の凋落(1)

 圧倒的な力を背景に、長期にわたりマスコミを支配し続けてきた広告代理店・電通グループ。だが、「驕れるもの久しからず」。広告料不正請求事件や過労死事件に象徴されるように...

2021年03月06日 07:00

別府市のマンション設計偽装~大分県は早急に県内の建物調査を行うべき(4)

 『「構造特性係数(Ds)」とは、保有水平耐力計算においてその建物に必要とされる「必要保有水平耐力(Qun)」を求める際の係数であり、Dsの値が大きいほど、その建物に...

誠実・勤勉に仕事を全うし地場総合建設業の使命をはたす

 (株)末永工務店は地場総合建設業として、1957年4月の創業以来63年間、地元・福岡を中心に、数多くの実績と信頼を積み上げている。今日も現状に甘んじることなく研鑽を...

いつの時代も正直に まちづくりに貢献し続ける

 福岡県内トップクラスの総合建設業として、地域のまちづくりに貢献し続ける照栄建設(株)。1972年6月、前畑一人氏によって創業され、2代目の中村悦治氏、そして2017...

企画が強みのアメイズマンション 機会を捉え新規事業にも挑戦

 九州の地方都市では、実家から独立して持ち家を求める若者や、通院に便利なようにインフラが整った街中に住みたいと望む老夫婦が、「2つ目の住宅」としてマンションを購入する...

2021年03月05日 17:19

会計法人代表らを逮捕、1.8億円脱税の疑い(福岡地検)

 福岡地検は4日、法人税や消費税など約1億8,000万円を脱税したとして、法人税法違反などの疑いで、(株)会計法人SASパートナーズ(東京都渋谷区)の武藤貴弘・代表取...

pagetop