• このエントリーをはてなブックマークに追加
2021年02月18日 10:42

【コロナで明暗企業(1)】ロイヤルHD、資本支援策の衝撃~筆頭株主、双日の持ち分法適用会社に組み込まれ、創業事業の機内食は売却(中)

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、業績が悪化した企業が増える一方、「巣ごもり需要」などで業績を伸ばした企業もあり、明暗が分かれている。
 シリーズ初回はファミリーレストランの「ロイヤルホスト」などを営む外食大手、ロイヤルホールディングス(株)を取り上げる。同社への資本支援策は衝撃的であり、筆頭株主となる総合商社、双日(株)の持ち分法適用会社に組み込まれる内容だ。さらに、創業事業である航空機の機内食事業を売却する。コロナ禍で苦境の外食チェーン大手のなかで、筆頭株主が変わる業界再編の先陣を切った。ロイヤルホールディングスの経営難を徹底分析する。

双日は「棚ぼた」でロイヤルHDを手に入れる

 一方、双日には今回のロイヤルHDの資本提携は「棚ぼた」だったようだ。総合商社は、伊藤忠商事(株)の(株)ファミリーマートや、三菱商事(株)の(株)ローソンに代表されるように、各社とも消費者と直結する事業を通じて市場の変化をとらえ、商社のサプライチェーン(調達、供給網)に生かす取り組みを加速させている。

 しかし、双日は、小売分野の取り組みが弱い。持ち込まれたのはロイヤルHDへ支援する話で、加えて持ち分法適用会社としてグループ化することも可能だ。こんなおいしい話はない。「双日の藤本昌義社長は、今回の提携話は『渡りに船』だと、その心情を吐露した」(『産経新聞』2月15日付)というのも納得がいく。

 双日は、ロイヤルHDの社外取締役に、山口幸一氏(常務執行役員 航空産業・交通プロジェクト本部長)と村井宏人氏(執行役員 リテール・生活産業本部長)を送り込む。就任は3月31日の予定。

 双日は、ニチメン(株)と日商岩井(株)が2004年に合併して誕生した。総合商社7社の2021年3月期の最終損益(見込み)は、伊藤忠商事が4,000億円で悲願のトップを達成。以下、三井物産(株)2,700億円、三菱商事2,000億円、丸紅(株)1,900億円、豊田通商(株)1,000億円、双日300億円。住友商事(株)は1,200億円の赤字転落だ。

 双日はほかの大手商社に大差をつけられている。コロナ禍で新規の海外投資案件が開拓できない事情も、双日を提携に向かわせた。ロイヤルHDとの資本業務提携は「千載一遇のチャンス」(藤本昌義社長)だった。

大赤字の機内食事業を連結対象から切り離す

 ロイヤルHDは、ファミリーレストランの「ロイヤルホスト」や「天丼てんや」の外食事業、空港内・高速道路内のレストランや社内食堂の受託などのコントラクト事業、機内食事業、リッチモンドホテルのホテル事業が主要4事業だ。

 昨春の緊急事態宣言発令による休業に時短営業を経験した20年5月に構造改革に着手。不採算店閉鎖では合計約90店の閉鎖を計画し、すでに約70店を閉店。希望退職募集も行い、21年1月末に315人が退職した。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、外食のほか、機内食やホテル事業が落ち込み、20年12月期の連結決算は惨憺(さんたん)たる結果で終わった。連結売上高は前期比40.0%減の843億円、経常損益は198億円の赤字(前期は46億円の黒字)、最終損益は275億円の赤字(同19億円の黒字)だ。

<主要セグメント別損益>
(単位:百万円 カッコ内は前期比増減率%)

 なかでも落ち込みが激しかったのが、機内食事業である。新型コロナウイルスの感染拡大で国際線の便数が激減し、国際線の旅客数の落ち込みで、20年5~6月の機内食事業の売上高は前年同期比94%減と、ほぼ壊滅した。国内線は徐々に再開し始めたが、機内食の大半を占める国際線の本格的な再開は進んでいない。20年12月の機内食の売上高は前年同月比85%減だ。

 機内食事業を運営するのがロイヤルインフライトケイタリング(株)(RIC)。関西、福岡、沖縄の3カ所に機内食工場をもつ。福岡空港、関西国際空港、那覇空港、成田国際空港、東京国際空港で、日本航空(株)(JAL)や全日本空輸(株)(ANA)など40社から業務を受託している。

 ロイヤルHDの菊地会長は、RICを双日に渡して、連結対象から外す理由について、「創業事業で、参入障壁も高い事業だが、(海外渡航が制限されるなかで)どなたかの手を借りないと回復は難しい」と説明している。
「そこまでやるか!」と衝撃をもたらしたのは、この機内食事業の売却である。機内食事業は、ロイヤルHDの一丁目一番地、創業の原点であるからだ。

(つづく)

【森村 和男】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2021年03月07日 07:00

【新・「電通公害」論】崩れ落ちる電通グループ~利権と縁故にまみれた「帝王」の凋落(2)

 日本の総広告費はGDPの拡大とともに年々増加の一途をたどり、今や7兆円に迫る規模に達している。電通は商業テレビがスタートした1953年以来、そうした日本の総広告費の...

2021年03月07日 07:00

別府市のマンション設計偽装~大分県は早急に県内の建物調査を行うべき(5)

 『別府市付近には、西日本を横断する断層帯である「中央構造線」に連なる断層帯がいくつもあります。大分県のホームページでは別府付近の断層を震源とする地震や南海トラフを震...

家族的な風土で社員の信頼関係を高め さらなる組織力強化を図る

 少子化に歯止めがかからないなか、政府は「働き方改革」を掲げ、IT活用による生産性の向上や労働環境の改善を促進。こうした取り組みによって離職率の低下と人材が確保できる...

2021年03月06日 08:00

極細1mmのふわふわ金糸モンブラン、太宰府天満宮参道で話題のソフトクリーム

 福岡の観光地・太宰府天満宮の参道にある金糸モンブラン専門店「香菓(かぐのこのみ)」が話題となっている。昨年12月25日のオープン以来3日間で1,000人を超える人気...

2021年03月06日 07:00

【新・「電通公害」論】崩れ落ちる電通グループ~利権と縁故にまみれた「帝王」の凋落(1)

 圧倒的な力を背景に、長期にわたりマスコミを支配し続けてきた広告代理店・電通グループ。だが、「驕れるもの久しからず」。広告料不正請求事件や過労死事件に象徴されるように...

2021年03月06日 07:00

別府市のマンション設計偽装~大分県は早急に県内の建物調査を行うべき(4)

 『「構造特性係数(Ds)」とは、保有水平耐力計算においてその建物に必要とされる「必要保有水平耐力(Qun)」を求める際の係数であり、Dsの値が大きいほど、その建物に...

誠実・勤勉に仕事を全うし地場総合建設業の使命をはたす

 (株)末永工務店は地場総合建設業として、1957年4月の創業以来63年間、地元・福岡を中心に、数多くの実績と信頼を積み上げている。今日も現状に甘んじることなく研鑽を...

いつの時代も正直に まちづくりに貢献し続ける

 福岡県内トップクラスの総合建設業として、地域のまちづくりに貢献し続ける照栄建設(株)。1972年6月、前畑一人氏によって創業され、2代目の中村悦治氏、そして2017...

企画が強みのアメイズマンション 機会を捉え新規事業にも挑戦

 九州の地方都市では、実家から独立して持ち家を求める若者や、通院に便利なようにインフラが整った街中に住みたいと望む老夫婦が、「2つ目の住宅」としてマンションを購入する...

2021年03月05日 17:19

会計法人代表らを逮捕、1.8億円脱税の疑い(福岡地検)

 福岡地検は4日、法人税や消費税など約1億8,000万円を脱税したとして、法人税法違反などの疑いで、(株)会計法人SASパートナーズ(東京都渋谷区)の武藤貴弘・代表取...

pagetop