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2021年02月19日 13:51

東京五輪組織委の断末魔 植草一秀氏ブログ「知られざる真実」 

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「利権まみれの五輪組織委の正統性を日本の主権者は認めるべきでない」と訴える2月18日付の記事を紹介する。

東京五輪組織委は何も変わっていない。
東京五輪組織委の最大の問題はこの組織がオリンピズムの根本原則から逸脱した非民主的な組織であるということ。

森喜朗氏が女性蔑視、女性差別発言で引責辞任に追い込まれた。
しかし、最後まで森喜朗氏は自己正当化に終始した。
引責辞任しながら記者会見で説明責任をはたすことさえ放棄した。

後任会長選出に際して「透明性のある選出プロセス」を掲げながら、選考委員会メンバーを非公表、検討委員会討議内容を非公表というギャグのような対応を押し通した。

スポーツ報知は組織委の非民主的な議事進行について委員の声を紹介した。
「組織委は森会長、武藤事務総長ら一部のほうが、ほとんどのことを決めて、理事はその決定事項を会議で聞かされているという流れ。
せっかく、さまざまな分野から集まってきているのだから、もっと意見の交換をすることが必要だと思う」

森喜朗氏は2月3日のJOC評議委員会で
「女性が入ると会議が長くなる」「組織委の女性はわきまえている」
と述べた。

会議で上層部が提示した提案にケチをつけるなということなのだ。

NHK番組に出演して、政府の施策に対する市民の批判の言葉を紹介したところ、
「いちいちケチをつけるもんじゃない」
と言い放った自民党幹事長がいたが、これと同じ構図。

組織委会長森喜朗氏と事務総長武藤敏郎氏らが密室で決定する。
組織委会合は密室で決定したことを追認するだけのお飾りと化してきた。
後任会長選出も初めから結論は保持されていた。

その初めから決まっている結論を導くために密室の「選考検討委員会」が設置された。
オープンな議論を行う予定はもとよりなかった。

橋本聖子氏は森喜朗氏直系の議員。
森氏、武藤氏の言いなりになるロボット会長が創設されようとしている。

その橋本聖子氏にパワハラ、セクハラ問題がつきまとう。
2014年のソチ五輪で日本選手団団長を務めていた橋本氏が、閉会式後に開かれた飲酒をともなう打ち上げパーティーで「高橋選手に抱き付いてキスをした」と報じられた。

14年8月20日発売の「週刊文春」が報じたもの。
現場写真もネット上で流布されている。
キス強要であれば刑事事件に発展する可能性もある事案だった。

東京五輪組織委員会のイメージは地に堕ちている。
その修復は不可能な状況だ。
組織委員会の最大の問題はオリンピズムの目的を正しく理解していないこと。

オリンピズムの根本原則
1.(前略)その生き方は努力する喜び、良い模範であることの教育的価値、社会的な責任、さらに普遍的で根本的な倫理規範の尊重を基盤とする。

2.オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである。

4.スポーツをすることは人権の1つである。 すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない。(後略)

森喜朗氏は
「コロナがどんなかたちでも必ず(五輪を)やる」
と述べた。

この発言がオリンピズムの根本原則に反することは明白。
「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てること」がオリンピズムの目的と明記されている。

「世の中がどうなろうと五輪を開催する」との姿勢は、オリンピズムの目的を全否定する暴言だ。
この森喜朗氏が自分自身の責任について説明責任も果たさずに辞任したうえで、自分が影響力をおよぼせる人物を後任会長に据えようとしている。

東京五輪組織委員会の姿勢に日本の主権者全体がNOを突き付ける必要がある。
残念ながら東京五輪開催の気運は完全消滅したというほかない。

「UIチャンネル」第380回放送、鳩山元首相との対談がアップされております。
https://bit.ly/37cW7Bs
ぜひご高覧賜りたい。

五輪開催が強行される前に五輪組織委の実体が露わになったことは不幸中の幸いだ。
天網恢恢疎にして漏らさずというもの。
東京五輪招致活動に関する重大な疑惑も解明されていない。
五輪を招致するために裏金が捻出され、その裏金が賄賂に使われた疑いがある。

フランス検察当局が捜査を進めている。
森喜朗氏が組織委会長を無報酬で務めているとの「美談」が流布されているが、森氏が五輪に関連する巨大利権を渉猟してきたとの批判が絶えない。

その1つに
「(一財)嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター」と
「(一財)日本スポーツレガシーコミッション」
がある。

前者の代表理事は森喜朗氏でこの財団が後者の一般財団を設立した。

組織委の定款に、清算時の残余財産を評議員会の決議を経て「国」、もしくは、「地方公共団体」「公益法人」に贈与できるという規定がある
スポーツレガシーコミッションを公益法人にして東京五輪の剰余金をここに流し込むとの思惑があるのではないかと指摘されている。

20年3月5日号の週刊新潮が五輪買収疑惑に関する記事を掲載している。
「嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター」なる(一財)が五輪誘致のための買収に関わっているのではないかとの疑惑だ。

https://www.dailyshincho.jp/article/2020/02261700/m3all=1

同誌20年2月20日号には
「極秘「決算報告書」入手! 「森喜朗」が代表理事「嘉納治五郎財団」の五輪買収「5億円」疑惑」
と題する記事も公表した。

https://www.dailyshincho.jp/article/2020/02171700/m3all=1

記事には
「政界のタニマチとしても知られる『セガサミーホールディングス』里見治会長(78)が嘉納財団に寄付した億単位の金が、フランスの捜査当局が追う『ラミン・ディアク国際陸連会長(当時)とその息子』に流れたのではないか、というもの」
と記されている。

東京五輪招致のためにラミン・ディアク氏とその子息に裏金が流れたとの疑惑がある。
この疑惑に上記の嘉納財団が関与している疑いがあるという。

嘉納治五郎財団こと「(一財)嘉納治五郎記念国際スポーツ・研究センター」は09年5月27日に設立され、トップである代表理事に森喜朗氏が就任した。
その嘉納財団が昨年12月末に活動を終了した。

ロイター通信は、東京五輪招致委員会から約1億4,500万円が同財団に支払われている銀行口座を確認して日本の検察がフランス側に情報提供したと報じている。

昨年11月にIOCのバッハ会長が来日した際、森会長は会見で疑惑について追及され、「財務に直接関与していないからわからない」と答えたことを日刊ゲンダイが報じている。
森氏が五輪協賛企業から多額の献金を受け取っていることも指摘されている。

また、森氏がラグビー・ワールドカップや東京五輪招致に熱心に取り組んできた最大の理由が神宮外苑再開発利権の確保にあったとの指摘もある。
さわやかなボランティア精神とは言い難い。

五輪開催について、オリンピズムの根本原則に沿って正論を示し続けてきたのがJOCの山口香理事。
東京五輪について8割以上の国民が今夏開催に反対していることについて山口氏は次のように指摘。

「五輪後の日本は、どうなるのでしょうか。
変異種を含めたウイルスが一気に持ち込まれて、冬に向かって感染が再拡大する可能性も十分に考えられます。
そうした事態をみんなが恐れていて、そのことが世論調査『反対8割』として表れているんだと思います。
世論調査によると、国民の約8割が『五輪を開催すべきではない』と考えています。
このことは重要視すべきです」

オリンピズムの根本原則を正しく理解し、正論を述べる山口香JOC理事が組織委会長選出に関連する人選から完全に除外されている。

利権まみれの五輪組織委の正統性を日本の主権者は認めるべきでない。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

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