2024年04月18日( 木 )

中国経済新聞に学ぶ~習主席とバイデン大統領は両国の「可能性」を探す(後)

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 バイデン大統領は習主席との会談に丸々2時間を費やした。どういった内容について話し合ったのだろうか。

中米両国は「可能性」を探す

 新華社の報道記事から、これらの内容について話し合った時間は30分程度とみられ、残りの1時間半に話した内容については米中双方ともに発表していない。しかし、10年間の友情や、両国関係の改善、世界の枠組みつくりに関するビジョン、日本やヨーロッパに対する見解について語り合ったことは間違いないだろう。あるいは、バイデン大統領が紹興酒を、習主席がカリフォルニアワインを好きである、といったこともおよんだのだろうか。

 習主席とバイデン大統領は、2時間にわたる電話会談で個人的な友情を築いたうえで、両国関係の改善、とくに関係を処理する基本原則について合意したに違いない。そして習主席も、「中国は、世界的にアメリカに代わる地位に立とうと考えたことはこれまでにない」との約束をしたはずだ。もちろんとくに話し合ったのは、両国間におけるさまざまな「可能性」であろう。

 バイデン大統領は、まるで芝居を打つたかのように中国の大晦日に習主席に電話をし、さらにその翌日、つまり中国の正月に、ファーストレディーとなったジル夫人とともに、あらかじめ録画していた新年のメッセージをツイッターにアップした。
 習主席や中国国民に対する大統領自身のこうした新春メッセージについて、4つの点て工夫がみられる。

バイデン大統領夫婦の新年のお祝いは工夫した

 1つ目はその日付であり、大統領は旧暦の正月を選んだ。トランプ前大統領による4年前の初めてのメッセージは旧暦正月から12日も経ってからで、またツイッターでは触れなかった。

 2つ目は背景を中国風にしたこと。夫人とともに発表したビデオメッセージの背後には、中国模様の赤いクッションが用意されていたうえ、背景全体が赤に染まっていた。またジル夫人の後ろには中国製の陶磁器もあった。ホワイトハウスは、正月ムードいっぱいの場面を入念に用意していたのである。夫人はメッセージのなかで、中国の灯篭について「我々の進む道を照らしてくれる。今このとき、アメリカ国民も少しお祝いしなくてはいけない」と述べている。

 3つ目はトランプ氏を暗に批判したこと。アジア系アメリカ人へのメッセージで「人種主義、ハラスメント、ヘイトでアジア系アメリカ人や太平洋の島民を攻撃するのはまったくの誤りで、わが民族の汚点である」と述べた。

 4つ目は今年の干支である牛に触れたこと。ジル夫人は、「牛年は、粘り強さや元気をもって困難を乗り切ることが必要だと教えてくれた」といったかたちで、中国やその文化に対する敬意を表現した。

 以上のことから、米中関係は大きな転換期を迎え、貿易戦に終止符が打たれるだろうとみられる。また習主席とバイデン大統領との個人的な友情で、両国の緊張関係が和らぎ、さらに台湾との緊張情勢も和らいで、互いに尊重したうえで世界のさまざまな問題処理へ協力していくだろう。もちろん中国も、アメリカが批判している人権問題について、ある程度の譲歩を示すかもしれない。

 日本政府も、外交や戦略面で見誤ることのないように、米中間のこうした変化を見るべきだろう。


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