2024年04月19日( 金 )

中国経済新聞に学ぶ~中国、2020年に新生児30%減少(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

都市化が子ども養育の基本コストを高めている

 中国の人口が伸びない主な原因は、現代的都市化現象であり、都市化が皆の生活期待値を広く向上させ、子どもの養育の基本コストをも高めている。都市化後の人々の生活の質は高まるが、この生活の質には教育を受けるレベル、衣食住、旅行などを含み、情報化も競争を過激化させ、誰が昇進し給料が上がったか、誰がパリに旅行し贅沢品を買ったかなど、事情がはっきりわかり、無形の競争が個々の生活プレッシャーを大きく感じさせ、子どもを産むことは多くの物を失うだろうと思わせている。

 都市化は人々により多くの選択を与えたが、「生活プレッシャー大」は子どもを産まない原因の1つであり、もう1つは「誰もが1人で生きていける」ことである。

 以前の農村では、生存における余裕が小さく、皆が一致団結しなければ生存できないので、誰かが水汲みを担い、誰かが食事を準備することで日常の生活ができて、誰もが集団を離れて生きてはいけなかった。そこで宗族をとくに重視し、その部族長は大きな権力をもった。現在の都市化により、基本的に、建設コストは低くなり、生活は便利になり、自分1人が門を閉じ、日を過ごしても、インターネットをしようと思えばできて、出前をしようと思えばできる、顔が少し売れていれば、ネットで踊って「萌え」を売りにして稼ぐこともできる(顔が売れてなくても美顔になれる)。24時間、外出しないでもいられて、経済上の依存関係が失われ、親戚や友達間の往来も少なくなり、人と人の関係が疎遠になって行く。

 とくに現代生活は女性を解放した。洗濯や食事づくりをすることなく、職場で男性と競争でき、かつてなかった選択に当たり前に直面している。結婚すれば、生活の質は良くならないばかりか逆に悪くなる可能性がある。とくに、子どもを産み子連れとなれば、自分の職業人生を直接断ち切ることになる。

 これは中国の数千年来、起こったことがない。多くの女性は安定して経済的収入が得られ、体裁の良い仕事もあることで、人生の後半分をいかに過ごすかを自分で決定できるようになり、人の顔色をうかがう必要がなくなった。

 中国の女性は若ければ若いほど教育を受ける程度は高くなり、経済的収入は向上し、前途は雄大となり、人生に選択がある。第2子あるいはそれ以上の育成率は、1980年代生まれでは6割にも達した。90年代生まれでは1人出産の比率は大幅に減少し、2000年以降に生まれた若者は子どもを産み自分の手足が縛られることを願わないようになった。

 中国の若い人たちが子どもを産まないのは、都市化、家賃の高さ、教育時間の長さ、子どもの養育コストの高さ、女性の経済的解放の総合結果によるものである。この結果は中国の少子化問題を日増しに深刻化させ、中国社会の未来に重大な影響をもたらすであろう。

 出生率の低下局面を解決するため、国家は2016年に第2児出産を全面的に開放したので、若者たちも多産を希望するようになった。一方、結果からみると理想的ではなく、瀋陽での出生率は0.04%だったものが0%に近くなり、東北三省の人口の自然増加率はマイナスになってしまった。出生率の大幅な下落は、多くの若者が多産を望まず、さらに重要なのは1人も出産しなくなったことが原因だ。18年中国の独身人口は2.4億人に達し、現在の21年に至っては、この数字は増えることはあっても減少することはない。

 これらの独身者にはタイプが2種類あり、1つは積極的独身、もう1つは受け身的独身である。都市化にともない、生活レベルの絶え間ない向上により、若者の考え方に非常に大きな変革が発生し、育児のためには結婚をしたくないと考えて多くの人が積極的に独身を選択する。とくに大都会では結婚しない人がますます増加した。結婚しなければ自然に養育はせず、出生人口は自然に減少する。

3,000万人の農村男性が嫁を求めている

 受身的独身がさらに多いのは農村だ。2019年の男性の出生は女性より3,049万人多く、これは3,000万人の男性チョンガー(独身男性)がいることになる。この大部分は農村での男尊女卑による結果で、多くの農村では大量の男性余剰が出現している、彼らの収入は低く嫁をもらえず、最後は独身で過ごすしかない。

 中国の人口専門家の推測では、最低出生数は1年で750万人程度になるという。ピークだった年の出生数が二千数万人だったことを考慮すると、これから20~30年後には、人の死亡のピークの波を迎えるだろう。中国の人口減少問題は確実に目前に迫っている。

 50年には、中国の人口は一体いくらになるのか?国連の対中国予測によれば、中国は30年よりマイナス成長に陥り、50年の人口は13.64億人に減少し、65年に人口は11億人まで減少し、2100年の中国の総人口はわずか8億人となり、現在の14億人から40%の減少となる。

 中国の人口専門家は、中国政府は子どもの出生と養育に経済的補助の実施を行う日本に学ぶべきだとアピールしている。しかし、経済学の専門家は日本政府の長期的な経済補助の実施は、出生率の増加をはたしていない、「少子化」は中国が発展した国家に邁進する過程であり、とくにインターネット時代と不可避の問題であるとしている。とくに中国社会の住宅高価格問題の解決なくして、より多くの若者が結婚と子どもを産みたいという欲望を持つことはできず、社会発展にさらなる影響を与えるだろう。

(了)


中国経済新聞を読もう

<連絡先>
(株)アジア通信社
所在地:〒107-0052 東京都港区赤坂9-1-7
TEL:03-5413-7010
FAX:03-5413-0308
E-mail:china@asiahp.net
URL:http://china-keizai-shinbun.com

(前)

関連記事