2024年04月19日( 金 )

中国経済新聞に学ぶ~中国、2020年に新生児30%減少(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 中国公安部が2月8日に公布した人口に関するデータが多くの人たちを悩ませた。2020年12月31日現在で、20年の出生戸籍に登録した新生児数が1003.5万人、そのうち男子が529万人で52.7%、女子が474.5万人で47.3%だったことである。

 16年から20年まで、中国の年間出生数はそれぞれ、1,786万人、1,723万人、1,523万人、1,465万人、1003.5万人だった。加えて、20年は19年比で100万人程の減少の予想であったにもかかわらず、実際には400万人以上、前年比30%以上の大幅な減少となった。

 これが意味するのは、中国の若い人たち、とくに1990年以降生まれの大部分が子どもを望まないということである。子どもを望まない若者の大部分の一般的な回答は同じで、「プレッシャーが大きすぎる」ことであった。しかし若い世代のプレッシャーは、彼らの先輩である両親の時代ほど大きくはない。

 60年代は、一般的に子どもが3人だったので、その困難さは現在では想像がつかない程で、多くの子どもたちはサツマイモ入りご飯を食べて大きくなった。肉・卵・牛乳もなく背も伸びず、青白い顔をしていた。6、7歳から牧草刈り、放牧、水汲みをしなければならず、多くは中学を卒業すると仕事を探し、自分の活路を見つけなければならい、手に職をつける、あるいは小さな商いをして生きて行くことが人生の到達点だった。

 実際、現在の若者はプレッシャーが大きいと感じて生きているのではなく、生活への期待値が高すぎるのである。それは中国の都市化潮流の下、皆の視野が開放され、多くの良いものが見えるようになり、より良い生活がしたくなり、より多くの選択権があるので、生活の質が保証できないなら、生まれないことを選ぶ方がましであると感じているのだ。

 とくに一二線都市(大都市)の大都会で生活する若者は、小さい町や村の家屋はもちろん買えるのであるが、大都市での住宅購入を渇望し、さらに大きくより良い街にとどまることを希望し、より高品質な生活を有し、生活を選択する権利をもつのである。彼らは、資源を尽くして頭金を調達し、値上がりする住宅ローンのプレッシャーに耐えなければならない。たとえば北京、上海、深堋においてローンで住宅を購入する場合、建物面積1m2あたりの販売価格は、中心地で150万円を超える。建物面積100m2(日本では75m2に相当)の住宅は1,500万元(約2億4,465万円に相当)にもなる。

 その場合、1世帯当たり少なくても毎月10万元の支出が必要である。そのうち毎月5万元(約80万円)は20年間の住宅ローンの支払いとなり、さらに子どもの各種補習費用が必要であり、夫婦は目を皿のようにして、必死に生活費を稼がなくてはならない。このような毎日のハイプレッシャー生活下で、どうして子どもを産む話ができようか?

 過去のプレッシャーは生存という底辺プレッシャーだったが、子どもを育てる基本的なコストは低かった。現在のプレッシャーは生活の質の上昇から生まれるプレッシャーで、子どもの養育の基本コストは高い。従って、子どもの養育の基本コストが子どもを産むか、産まないかを決定し、そのコストは往々にして住宅費用より高くなっている。

(つづく)


中国経済新聞を読もう

<連絡先>
(株)アジア通信社
所在地:〒107-0052 東京都港区赤坂9-1-7
TEL:03-5413-7010
FAX:03-5413-0308
E-mail:china@asiahp.net
URL:http://china-keizai-shinbun.com

(後)

関連記事