2024年04月20日( 土 )

地域による協働のまちづくりで「住みよさ」実感できる春日へ(中)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

春日市長 井上  澄和 氏

住民1人ひとりがまちづくりの担い手(つづき)

春日市長 井上 澄和 氏

 井上 また本市では、子どもから高齢者まで、地域住民1人ひとりがまちづくりの担い手として主体的に参画する、自治会を中心としたまちづくりを進めており、市内35地区のそれぞれの自治会に地域自治の運営方法や考え方をお任せしています。各地区自治会では、住民自らが中心となって互いに協力しながら、地域の祭りや文化行事、スポーツ大会、美化活動などの自治会活動を行っています。

 この自治会活動が良い影響をおよぼしたといえるのが、ご家庭や学校だけでなく、地域の方も一緒になって子どもを育てる「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」の取り組みです。これを市内の12小学校・6中学校すべてで行っています。登下校時の見守りや、「公民館寺子屋」などの学習サポート、地域行事への子どもたちの参画など、子どもたちは地域の方々との関わりのなかで、学校や家庭で生活するだけでは気付けない大切なことを学び、地域への愛着を深めていきます。また、地域にとっても、子どもたちの存在によって活気が出てきますし、保護者にとっても、地域全体で子どもたちを見守ってくれるという安心感が得られるなど、それぞれにとって良い効果が期待できるものです。

 このコミュニティ・スクールの取り組みは、本格的に始めてからもう10年以上経ちますが、子どもたちの健全な成長につながっていると感じています。たとえば各自治会が中心となって実施する、春と秋の年2回の市内全域での一斉清掃活動「クリーン作戦」では、今では中学生の子どもたちが中心になって頑張ってくれていますし、市内の中学校にはボランティア部やサークルがあって、部の活動として地域行事に参加してくれたりしています。さらに、数年前の春日市の成人式では、新成人が「私たちは地域の方々に育ててもらいました」と地域への感謝の言葉を述べてくれました。本当に嬉しい限りです。

10年後、そしてその先も住みよいまちであり続ける

 ――「第5次春日市総合計画」が、まもなく完了を迎えます。

 井上 本総合計画は、将来都市像「住みよさ発見 市民都市かすが」の実現を目指して、「誰にも優しいまち」「みんなで支え合うまち」「市民が活躍するまち」の3つの基本視点に基づいて、21年3月末までの10年間の期間で「協働のまちづくり」を推進してきました。「地域づくり・市民生活」「高齢者支援」「子育て支援」「教育」「健康・スポーツ」「都市環境」「防災」「暮らしの安全」「プロモーション事業」をはじめとしたさまざまな分野で施策を実施してきており、それぞれ成果を残すことができました。

 その結果、18年12月に実施した市民の意識調査では、春日市に対して「住みやすい」と感じている方の割合が94.8%、「住み続けたい」と感じている方が91.4%と、いずれも10年前の意識調査と比べて数値が上昇する結果が出ています。これまで10年間続けてきた協働のまちづくりに対して、市民の皆さまからも高い評価をいただけたのではないかと思っています。

 ――今年4月からは新たに「第6次春日市総合計画」が始まりますが、そのポイントは。

登下校時の見守りなど、地域で子どもを育てる

 井上 基本的には、第5次総合計画で進めてきた施策を踏襲しながら、よりブラッシュアップしていくかたちになりますが、まちづくりの大きな目標としては2つ。まず1つ目は、地域の力を核とした協働のまちづくりを進めていく「人と地域がつながり、豊かさとにぎわいを生み出すまち」と、もう1つは、子ども・子育て相談センターにおける支援や事業の充実、コミュニティ・スクールの推進などの“子育て・教育”に注力する「安心して子育てができ、子どもがすくすく成長できるまち」です。

 近年、全国的に多くの地方自治体で、少子高齢化の進行や人口減少社会の到来、自然災害の頻発、インフラや公共施設の老朽化など、さまざまな課題を抱えていますが、それは本市においても決して他人事ではありません。これらの課題を乗り越えるためにも、これまで以上に協働のまちづくりを進めていかなければならないと考えています。そのため、第6次総合計画では「住みよさ実感都市 かすが〜つながる はぐくむ 支えあう〜」を将来都市像に掲げていますが、これは10年後も、そしてその先の未来まで、市民に住みよさを実感してもらえるまちであり続ける――という強い決意を込めています。

(つづく)

【坂田 憲治】


<プロフィール>
井上 澄和
(いのうえ・すみかず)
1951年4月、春日市出身。西南学院大学経済学部卒業後、76年4月から衆議院議員秘書。87年4月に福岡県議会議員に初当選後、3期12年務める。99年4月に春日市長に初当選し、現在6期目。また、2012年5月の九州市長会副会長就任を経て、18年4月からは福岡県市長会長も務め、現在2期目。

(前)
(後)

関連記事