別府市のマンション設計偽装～大分県は早急に県内の建物調査を行うべき（5）

大分県は、別府で震度6強以上の地震を想定

　――先月13日、東北で震度6強の地震がありました。

　仲盛　別府市付近には、西日本を横断する断層帯である「中央構造線」に連なる断層帯がいくつもあります。大分県のホームページでは別府付近の断層を震源とする地震や南海トラフを震源とする地震が発生した場合の被害の想定などを公開しています。この資料のなかで「慶長豊後型地震の震度分布」という図があり、別府市は震度7から震度6強とされています。

　――大分県による建築確認の際に、不適切な設計を見落としたまま建設された鉄骨鉄筋コンクリート造の建物が、大分県内には何百棟もあると思います。大分県のホームページで公開されているように慶長豊後型の地震が発生した場合、倒壊の可能性がある危険な建築物は、「ラ・ポート別府」だけではないと思います。

　仲盛　大分県は、別府付近で地震が発生した場合の津波による被害予想も公開しています。相当な数の建物や人命に被害が出ると想定されています。もし、地震により建物が崩れ避難ができない状況で巨大津波が発生すれば、本来助かるはずだった人命まで犠牲になることが考えられます。ラ・ポート別府は海岸に近いので、津波が来ることは容易に想像できます。

　――耐震性に問題を抱えた建築物が、大分県内に何百棟も存在している可能性があるのなら、早く改修すべきではないでしょうか。

　仲盛　その通りです。現に、大分県が建築確認済証を交付したラ・ポート別府において耐震性や適法性の問題が明らかになったのですから、この点に関しては、建築確認では「ノーチェック」だったということです。大分県内のすべての鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物について速やかに調査を行い、適法な状態に是正をするよう、大分県が指導をすべきです。

　私は大分県を責めているのではありません。国が性善説に立脚した建築確認の限界を理解したからこそ、2007年の建築基準関係規定の改正が行われたのです。建築確認で見落とした不適切な設計については、今からでも是正を行うべきであり、大地震が発生してからでは遅すぎると警鐘を鳴らしているのです。

　大分県知事には、「大分県内のすべての鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物の不適切な設計に関する調査を速やかに実施し、不適切な設計が判明した建築物およびラ・ポート別府を適法な状態となるよう是正を指導してください。もし、調査・是正指導ができないのであれば、その法的理由を示してください」と申し上げたい。

（了）

【桑野　健介】

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