2024年04月27日( 土 )

変革を恐れずに挑戦を続け 新たな事業、新たな価値を生み出す

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(株)ダックス

試行錯誤のなかで新規事業に果敢にチャレンジ

空気循環式紫外線清浄機「エアーリア コンパクト」
空気循環式紫外線清浄機
「エアーリア コンパクト」

 設立25周年の節目を迎えた(株)ダックスは、これまで自社ブランド「パレストマンション」を始めとする新築分譲マンションの販売を中心に、戸建住宅「P-TELAS」の企画・販売やソーラーシステム販売、浄水器販売、不動産管理、カフェFC、海外進出など、多岐にわたる事業を展開してきた。現在は、市況を鑑みて祖業であったマンション事業を一時ストップする一方で、これまで育ててきた戸建を始めとした複数の事業を次なる柱に据えることで、マンション事業分の落ち込みをカバー。時流や市場の変化の波にうまく対応しながら、次なる手を打ち続けている。

 たとえばコロナ禍においても、新たに空気循環式紫外線清浄機「エアーリア」の販売を開始した。これは、内蔵のファンで空気を循環させながら、取り込んだ空気内に浮遊する菌やウイルスに対して強力な紫外線を照射し、除菌・無毒化するというもの。「さまざまな事業者の方々が困っておられますので、少しでもそうした方々の助けになりたいと始めた事業です」と同社代表取締役社長・石原紀幸氏が語るように、病院や薬局、介護施設などの医療業界を始め、飲食店や美容室などの店舗やオフィスなどからの問い合わせや設置が進んでいるという。

 こうした世の中のニーズに合わせて、柔軟に新規事業を展開できるフットワークの軽さが、同社の持ち味であり、強みだ。現在、手がける事業は「住まい」「自然エネルギー」「水」「空気」「くつろぎの空間」など多岐にわたっている。その多様さは試行錯誤のなかで果敢な挑戦を繰り返した証であり、いずれも事業として結実させている。

コロナ禍をきっかけに社内改革を断行

 こうした新規事業への挑戦を下支えしているのが、社員1人ひとりにまで浸透した同社のチャレンジ精神だ。たとえば前出の「エアーリア」事業も、その担当者はまだ入社したばかりの新卒社員だそうだが、これも自ら「チャレンジしたい」と志願したという。現在80名の社員が在籍しているが、若手からベテランまで各人が自由に意見を出し合い、チャレンジできる社風が同社の強みとなっている。

 同社では現在、コロナ禍をきっかけとして、急速に社内改革が進んでいるという。以前は業種的な性質もあって、事務作業や営業面も含めてアナログ的な手法に頼る部分が多かったが、社員各人のテレワーク環境を整えるために会社のPCや携帯を貸し出し、補助金や在宅勤務手当を出すなど、社を挙げてIT化やテレワーク化を推進。今では多いときでも全社員の約半数、少ないときには約20%の社員しか出社しなくても滞りなく業務が回るように、テレワーク化が定着しつつある。

 その一方で、事務所で顔を突き合わせない分、社員同士のコミュニケーションの希薄化が懸念されるところだが、同社ではチャットや独自の自社ツールの活用などで、その問題をうまく解決している。その一例が、社内間でのコミュニケーションツールとなっている「事業部通信」だ。これは、各事業部それぞれが他事業部に向けて自由な内容で発信するもので、事業部の紹介や業務に関することだけでなく、支店の周辺情報、さらには個人的な趣味に関する内容でも構わないという。それぞれの事業部が、こうして自由に意見や情報を発信・交換し合うことで、以前にも増して社内での情報共有が図れるようになり、事業部の垣根を越えたシナジー効果も生まれてきているという。

事業部通信
事業部通信

 「社内のコミュニケーションは、むしろ以前よりも活発になっているかもしれません。社員からの意見も出やすくなっていますし、社内改革が良い方向に進んでいるのを感じます」(石原社長)。

 本来であれば少しずつ段階的に社内改革が進むところを、コロナをきっかけに一気に改革へと踏み切った同社。変革を恐れず、逆風すら好機に変えてしまうチャレンジ精神が、同社の社風として脈々と受け継がれている。

双方向コミュニケーションで顧客に喜ばれる会社に

初の「テレワーク仕様」物件の『P-TELAS野芥II2号地』(早良区野芥)外観パース
初の「テレワーク仕様」物件の
『P-TELAS野芥II2号地』(早良区野芥)外観パース

 そんな同社がこれから目指す姿について石原社長に尋ねると、「私の理想としては、お客さまに喜んでいただける会社というのが一番です。そのために、お客さまとの双方向のコミュニケーションをもっと密にしていきたい。当社の1人よがりで何かをつくって、『これ良いでしょ。買いませんか』というような商売ではなく、お客さまから『こんなものがほしい』という情報をいただき、それをかたちにして提供していく、そんな会社でありたいと思っています」という答えが即座に返ってきた。コミュニケーションのベクトルを社内だけでなく社外にも向け、そのなかで顧客に求められる新規事業のヒントを探っていきたい考えだ。

 また、1社単独で孤軍奮闘するだけでは、生き残りが難しくなってきている今の時代において、同社はこれまでの多事業展開のなかで培ってきたネットワークを生かし、ときには他社とのアライアンス(企業提携)も検討している。「より多くの方を幸せにするためのアライアンスは、積極的にやっていきたいと思っています」(石原社長)。

 新たな価値を生み出し、お客さまに喜ばれ、必要とされる企業であり続けるために―。自社の強みを活かしながら時代に即した変革を続ける同社は、これからも未来に向かって力強く歩み続けていく。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:石原 紀幸
所在地:福岡市中央区長浜1-1-1 KBCビル8F
設 立:1995年2月
資本金:1億円
TEL:092-737-1121
URL:https://www.dax-jp.com


<プロフィール>
石原 紀幸
(いしはら のりゆき)
1963年2月生まれ、福岡市出身。福岡高校から九州大学を卒業後、85年4月に(株)リクルートに入社。88年4月に新生住宅(株)に入社した。95年2月、(株)ダックスの設立と同時に入社。2018年3月の代表取締役副社長就任を経て、19年4月に代表取締役社長に就任した。

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