2024年04月20日( 土 )

高難度の杭打ちと杭抜きを実現 弛まぬ精進で一歩ずつ着実に前進する

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東洋ベース(株)

45周年でのコロナ禍で売上は減少 前年比8割の売上確保を目指す

 新型コロナウイルスの感染拡大が日本経済に大きな影を落としている。天神ビッグバンの2年延期が発表された福岡の建設業界でも、工事の中断を余儀なくされるなど、厳しい状況は続いている。昨年6月に設立45周年を迎えた東洋ベース(株)は、杭打ち、杭抜き、山留めといった基礎工事を中心に地質調査や耐震診断などを行う土のプロフェッショナル集団だ。

筑紫野市の事務所と機材センター
筑紫野市の事務所と機材センター

 1975年、大野城市に現社長・田畑文徳氏の父である照雄氏が「三和工業」を設立したのが同社の始まり。78年に商号を(株)基礎工田畑組に改変。84年に田畑組を解散し、太宰府市に末広工業(有)を設立した。その後、93年には現社名に商号を変更。東京営業所や久留米営業所を開設し、2007年には筑紫野市山家の広大な土地に事務所と機材センターを新設するなど順調に事業を拡大していた。創業から45年という節目を迎えたタイミングでのコロナ禍を、同社はどのように乗り越えようとしているのか。

 2代目社長である文徳氏は、「厳しい夏でした。着工の延期や見送りで現場数が減り、売上は例年の3〜4割減です。毎年この時期に発注をいただいていた学校の補修・改修工事や建替え、耐震補強といったさまざまな案件は、どこも新型コロナウイルス感染予防対策に予算を回さざるを得ない状況。緊急事態宣言が解除され、営業活動を再開しましたが、やはり以前通りとはいきません。それでもやっと9月後半〜10月くらいまでの工事が見えてきて、恐らく前年比8割程の売上に戻せるのではないかと思います」とこれまでの業績と今後の見通しについて述べた。

東洋ベースの魂「8つのE」で 全社一丸となって事業を拡大

 同社が理念=魂として掲げるのは「8つのE」だ。ENERGY:なにものにも屈しない強靭な力、EARTH:地球の明日を考えたグローバルな視点、EXPERT:専門集団としての誇り、EVOLUTION:飛躍実現する日々研鑽、ETERNAL:いつもかわらない真摯で謙虚な姿勢、ECOLOGY:環境に優しい繊細な心くばり、ECONOMY:より経済的で無理のない計画、ENVIRONMENT:環境を維持するための努力と工夫―。その魂を胸に、36人の社員1人ひとりがコロナ禍に屈することなく日々業務に励んでいる。

杭によっては直径1.5mを超えるものも
杭によっては直径1.5mを超えるものも

 「新型コロナウイルスの収束の時期は誰にもわかりません。しかし今後、箱物が建たず工事もゼロかというと、そんなことはありません。少ないチャンスでもあきらめずに、仕事は取っていかないと。企業を存続させていくために、ネガティブなことばかり考えていても仕方がありません。以前は、仕事に追われて考える時間を十分に取ることができませんでした。今は人と会えない分、次の戦略を考える時間だと捉えています」と田畑氏は前を向く。まさに同社の魂「屈しない強靭な力」に突き動かされているかのようだ。

 同社の感染予防対策としては、マスクの着用やアルコール消毒の徹底、毎朝の検温やソーシャルディスタンスの確保など、一般的な対策は引き続き行うとしたうえで、簡易検査キットの導入も検討しているという。また、業務拡大を見据えた新入社員の募集も積極的に行っている。これまでは、自衛隊の早期退職者向けの合同説明会に参加し、毎年2〜3人の新入社員を採用してきた。現在は、大手人材派遣・紹介サービスの利用や工業高校新卒者へ向けた採用活動も並行して行い、外国人労働者の雇用についてもコロナ収束のメドが立ち次第、具体的に動いていくという。

沖縄営業所を開設し地域発展に貢献 謙虚な姿勢で日々挑戦を続ける

 近年、建設ラッシュに沸く沖縄。同社の基礎工事の評判を聞きつけて、同県から設備見学を打診されることもあるという。「実は、年内もしくは年明け早々には沖縄営業所を開設する予定です。自社所有の重機を運んで、本格的な基礎工事にも対応していきます。設備見学を希望される方には隠すことなくお見せしていますよ。自分たちが100%ではないけれど、沖縄の工事技術や職人さんの質の向上につながるよう、尽力していきたいですね」(文徳氏)。

騒音問題などにも真正面から向き合う
騒音問題などにも真正面から向き合う

 杭打ちと杭抜きの2本立てで対応できる企業は、九州でもほかにないと胸を張る文徳氏。「近年、特殊な杭が使用されているケースがあって、それを抜ける業者はなかなかないんです。当社でも失敗してお客さまにご迷惑をおかけしたこともありました。どれだけ質の高い基礎工事でお客さまにお応えできるか、工事部隊と研究を重ねる毎日です。多額の設備投資が必要になる場合もありますが、これからも試行錯誤しながらやっていく予定です。他の業者がお断りされる工事でも、赤字覚悟でチャレンジしています。実際にやってみないと、何が問題でどれくらい難しいのかわかりません。どうして今まで通りいかないのだろう、じゃあこうしてみようと。そこで生まれてくるものがあるでしょう。だから挑戦し続けることを大事にしていきたいですね」(文徳氏)。

 失敗した経験やそこから得られた知識やプロセスは、会社として大きな財産となる。同社は揺るぎない魂「8つのE」をベースに、共存共栄の精神でこれからも発展していく。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:田畑 文徳
所在地:福岡県筑紫野市大字山家3819-1
設 立:1975年6月
資本金:1,000万円
TEL:092-926-1300
URL:http://toyobase.co.jp


<プロフィール>
田畑 文徳
(たばた ふみのり)
1966年3月3日生まれ、兵庫県尼崎市出身。九州産業大学経営学部卒業。大学卒業後は麻生商事(株)で営業職として勤務。30歳を機に、当時父親の経営していた(株)基礎工田畑組に入社。2007年より現職。

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