2022年05月19日( 木 )
by データ・マックス

建設企業ランキングで1位 確かな実績を武器に、海外へ雄飛

松山建設(株)

建設業「番付」で首位を獲得

豊前市バイオマス事業

 建設業や不動産許認可業務を指導監督する国土交通省九州地方整備局は2020年7月22日、20年度の工事成績評定「企業ランキング」を発表した。過去2年間に完成した、港湾空港関係を除く直轄土木工事の成績評定結果を基に各社の平均点を算出したもので、公的機関が客観的指標に沿って評価した、建設会社の「番付表」にあたるものだ。

 昨年、トップに輝いたのが松山建設(株)だった。同社は17年度の同ランキングでトップ5社に選ばれていたものの、単独首位は初めて。同社の平均評定点は83点で、82点の2位には15社が並ぶ。松山建設は前年度、評定点81点で4位(同点で47社がタイ)につけていたが、今年2点を上乗せしてトップに躍り出た。前年度1位だった企業が1点下げて2位タイ(15社)に沈むなど、1点の重みを如実に表すランキングとなっている。

 福岡を代表する総合建設会社として知名度も実績も有する同社。前出の平均評定以外でも、同整備局による「国土交通行政功労表彰」において、16年から5期連続で優秀企業に選ばれている。

西鉄ライオンズ初優勝の年に創業

 こうした指標による企業の「通知表」は、同社が福岡県で有数の優良企業であることを証明するものだ。その実績の源泉には、現状維持を良しとしない同社が育んできた社風がある。その来し方を振り返ってみよう。

 まずは同社の産声から。現代表・松山孝義氏の父親である松山譲氏が、出身地の福岡県築上郡築上町(旧・椎田町)で小松組を個人操業したのは1956年9月のこと。ちなみに創業の1カ月後には、西鉄ライオンズが巨人を破って初の日本一になり、福岡市で盛大な優勝パレードを行っている。

 その後、62年に松山建設工業へ商号変更。71年10月、(株)に組織変更すると本社を北九州市門司区に移転させた。松山登氏が代表に就任した昭和50年代からは営業エリアを福岡市に拡大し、76年5月に福岡支店を開設。松山政司氏が代表に就任した96年に現商号の松山建設(株)に商号変更すると、地場総合建設業として王道を歩み、2016年9月に創業60周年を迎えている。

続々と計画されるバイオマス関連事業

 松山建設の活躍の場は、営業エリアの拡大にともなってさまざまな分野に広がっている。代表的なものでは、一般土木工事の設計・施工をはじめ、上下水道、港湾土木、浚渫工事、道路舗装、造園、公共建築など。さらにアスファルトの品質管理、同合材販売なども手がけ、1989年には、道路を切削した際に出るアスファルト廃材や各種解体工事で派生するコンクリートを中間処理し、再生路盤材や再生骨材としてリサイクルする工場を新設、豊前営業所として稼動させた。

 民間土木工事分野を拡大する足がかりとして取り組んでいるのが、バイオマス事業関連工事だ。福岡県京都郡苅田町では18年から、「苅田バイオマスエナジー(株)」による発電所建設計画が進んでおり、同社では同事業におけるボイラー棟地下工事および燃料タンク等の建設を担当した。(株)レノバや住友林業(株)、九電未来エナジー(株)など5社が出資する、未来を見据えた事業の背景にあるのは、SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)の理念だ。

 17年12月から建設を進めていた「豊前バイオマス発電所」も、20年1月1日から営業運転を開始した。同発電所は、イーレックス(株)、九電みらいエナジー(株)、(株)九電工が3社共同で出資参画している「豊前ニューエナジー(同)」によるもので、発電出力7万4950kWという国内最大級の木質バイオマス発電を実現した。

モントーレ香椎浜サーフタワーセンターコート

 公共工事では、福岡都市高速や九州自動車道の関連工事をはじめ、九州新幹線、福岡空港などで実績がある。橋梁やトンネル、さらに海洋・河川関連工事やダム土木工事など、カバーする分野は幅広い。12年の第24回福岡県美しいまちづくり建築賞を受賞した「築上町火葬場」の建設では、水辺に面して建てられた火葬場という斬新なアイデアを見事に具現化させ、水と光のコントラストで静謐な空間をつくりあげた。

 民間分野では、商業施設、マンション、集合住宅、教育施設、医療・介護施設などの建築実績を誇る。とくに、15年に完成させた「モントーレ香椎浜サーフタワーウエストウイング」(売主:西武ハウス(株)/地上20階、総戸数231戸)に続いて現在建設中のモントーレ香椎浜サーフタワーセンターコートは、総戸数587戸の九州最大級の超高層タワーマンションとして、注目を集めている。

喜業三訓で育てる「喜業人」

 松山建設は新たなチャレンジとして、海外展開にも積極的に取り組んでいる。16年2月に、ODA事業としてカンボジアのシアヌークビル州で「シアヌーク病院」を竣工しており、これまで培ったたしかなノウハウと実績に裏打ちされた信頼を武器に、海外での施工例を積み上げていく方針だ。

 福岡県内を地盤にバイオマス事業など新分野にも活躍の場を広げ、さらに海外展開を見据える同社の今後は、やはり付加価値をもった人材の育成にかかっている。これまで新卒者を毎年1、2名採用しており、近年は福岡だけでなく九州の地方都市からの志望者が増えているという。

 福岡と椎田(築上郡築上町)の両事業部を合わせた社員数は70名以上。松山代表は人材育成について、より社員同士の距離を近くすることを念頭に置いてきた。仕事は権限を与えて取り組ませるが、社員を決して「1人にしない」ことで責任感と安心感をもって業務に専念させる、そんな環境こそ松山建設の目指すものだ。こうした姿勢が社員の定着率向上を実現し、社員同士が垣根なくコミュニケーションをはかる職場の雰囲気が、風通しの良い社風の醸成につながっている。

 松山建設の理念である「喜業三訓」は、顧客第一主義と全社員営業志向、そして人「財」の創造を旨とする。顧客とのつながりを喜びとし、企業と社員がともに成長することで喜びの種を育て、喜びのなかで成功の果実を得る。同社が理想とする「喜業人」像は、低成長時代を生き延びる企業の1つの指針となる。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:松山 孝義
所在地:福岡市中央区高砂2-24-23
設 立:1956年9月
資本金:4,000万円
TEL:092-533-0001
URL:http://www.matsuyama-k.co.jp


<プロフィール>
松山 孝義
(まつやま たかよし)
1962年、福岡県椎田町(現・築上町)に生まれる。明治大学法学部卒業後、コンピューター関連の企業でシステムエンジニアとして活躍。95年に松山建設(株)入社。2000年、代表取締役社長に就任。

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