2022年07月02日( 土 )
by データ・マックス

【劇団わらび座特集(2)】私がわらび座を支援する理由〜APAMAN代表・大村浩次氏(支援協議会議長)

 秋田県仙北市に拠点を置き、民族伝統をベースに多彩な表現で現代の心を描く劇団「わらび座」。コロナ禍によってイベント業界全体が苦境に立たされているなか、APAMANグループ・代表取締役社長・大村浩次氏の声かけによって、3月2日に「わらび座支援協議会」が発足した(大村氏は議長に就任)。

残すべき文化、劇団わらび座

APAMANグループ
代表取締役社長
大村 浩次 氏

 劇団「わらび座」は1951年2月に創設。人間の尊厳、命の美しさを描き、人々の心の糧、生きる力になる芸術活動を理念とし、東北地方にとどまらず国内外で公演してきた。海外はアメリカ、ヨーロッパ、アジア、ブラジルなど16カ国を訪れた。

 多数の劇団があるなか、同劇団の特徴を語るうえで「民族伝統と教育」を外すことはできないだろう。歴史と民族伝統とその素材をモチーフにしたミュージカル、1つのテーマを歌や踊りで構成する歌舞集、セリフなしで身体表現と音楽だけでストーリーと心理を表現する舞踊劇、古今東西の楽器を駆使したミュージックパフォーマンスバンド…。「いのち」の大切さをテーマとした現代へのメッセージあふれる舞台を提供している。コロナ禍以前は、全国で年間1,000回の公演が行われ、その3割を各種学校の芸術鑑賞「教育旅行」が占める。

 このような同劇団の活動を評価する著名人は多い。東京大学名誉教授で、紫綬褒章や文化勲章をはじめとした数々の栄典を受けた佐々木毅氏、尾木ママの愛称で知られる教育評論家の尾木直樹氏、NHK大河ドラマ「毛利元就」や連続ドラマ小説「ひらり」などを手がけ、わらび座のミュージカル「小野小町」の脚本も手がけた内館牧子氏らが挙げられる。この3名は、わらび座支援協議会の名誉顧問に就任している。

発足に込めた「大切なものをなくしてはならない」という思い

 昨年4月7日に1度目の緊急事態宣言が発令され、あれから1年が過ぎようとしている。その後、2回目の宣言が発令されるなどイベント業界にとっては長い冬となり、残念ながら倒産に追い込まれた企業も少なくない。今月21日に宣言が解除されたとはいえ、同業界にとっては厳しい状況がしばらく続くだろう。

 一方、(株)わらび座・代表取締役社長の山川龍巳氏は、「最大の危機を逆にチャンスにして乗り越えていくぞ」と意気軒昂たる姿勢を見せている。その背景には、山川氏自身の強い決意とともに、同劇団の危機にいち早く声をかけたAPAMANグループの代表取締役社長・大村浩次氏の支援がある。

 大村氏は、同劇団存続の危機を伝えた報道を見たのち、山川氏に連絡をとり、支援協力に手を挙げた。同グループでは、fabbit(株)でSSAP(Social Success Athlete Project)事業をスタートさせ、キャリアアップや企業の第2創業を支援していることから、残すべき文化であるわらび座の支援に動いた。大村氏の声かけで発足したわらび座支援協議会は、地域の伝統文化を語り継ぎ、子どもたちに夢と感動を与える劇団わらび座の支援を目的としている。

 大村氏は今回の支援について、次のようにコメントしている。

 「(今回の支援活動を行ったのは)地方にある大切なものをなくしてはならないという思いからです。文化的な価値の高いわらび座は必要です。とくに子どもたちにとっては。個人的に新婚旅行でわらび座を見たという思い出もありますが、何より子どもたちにこのすばらしい劇団を残したかった。伝統文化そのものだと感じています」。

 同劇団は今後、感染症対策を万全にして講演活動を再開する予定。オンラインによる視聴サービスなども展開する。今回のコロナ禍は、経済だけでなく「人と人の関係・環境」にも大きな影響を与え、人とのふれあいを疎遠にさせた。

 今こそ我々は、現代に至るまで人々がどのように生きて、助け合い、命をつなぎ、後世に残してきたのかを知り、子どもたちに伝えるべきではないだろうか。

【麓 由哉】

(1)-(前)

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