地域にスーパーマーケットは必要、人口減少エリアに出店するということ
-
(株)マルミヤストア 代表取締役社長 池邉 恭行 氏
3月26日、大分県を中心に食品スーパーを展開する(株)マルミヤストアは、宇佐市の食品スーパー「セルフおの安心院店」と「セルフおの院内店」の2店舗を(株)小野商店から引き継ぎ、マルミヤストアの屋号で営業を再開した。店舗拡大を図りたいマルミヤストアと後継者不在から事業譲渡を決断した小野商店。2社に共通したのは、「地域にスーパーマーケットは必要である」との思いだった。
地域の老舗スーパーを承継
――引き継ぎはいかがでしたか。
池邉 (株)小野商店の代表・小野太一郎さんは、最後まで地域のことを考えておられました。「お彼岸にスーパーが空いていないと地域の人が困る」「引き継ぎのための閉店期間をなるべく短くしてほしい」など、本当に細やかなことまで気にされていました。看板はマルミヤストアに変わりましたが、後継者不在ということからの事業譲渡ですので、2店舗ともほぼそのままで営業を再開しています。棚割りも変更していません。
「あの商品がなくなった」といったようなことで、お客さまに迷惑をかけたくはないので、引き継ぐにあたって、まず半年くらいはしっかりとデータをとって、地域のお客さまのニーズを確認してから、必要があれば棚替えを検討していこうと思います。「セルフおの」で取り扱われていた日配品や塩干品などについても、継続してお取引いただいています。
――棚割りを変えない理由は?
池邉 まずは、お客さまにとって必要な商品を、こちらの都合でなくすわけにはいきません。「セルフおの」は業績が悪かったわけではありませんし、長い間、地域に密着してやってこられた、しっかり利益を出してきたお店です。なので、地域のことを知らない我々が変える必要はないと思っています。
また、大分県北部の山間に位置する安心院(あじむ)と院内(いんない)は、少子高齢化が進んでおり、従業員にも高齢の方が多くいらっしゃいます。ただでさえ、店舗が変わることでさまざまなシステムが変更されますので、なるべく従業員の皆さんの負担を増やしたくないというのも理由の1つです。
※安心院・院内の人口は2地区合計で4,147世帯、1万276人(2015年現在)
人口減少地域での出店
――人口減少エリアに出店する理由は?
池邉 まず大前提として、スーパーマーケットが必要とされているからです。小野さんから最初にお話をいただいたときに、競合店はコンビニエンスストアとおっしゃっていました。業態間競争をするわけではありませんが、家族でおいしいお肉やお魚を料理して食卓を囲もうと思えば、やはり地域にスーパーマーケットは必要だと思います。ですから、「地域のお客様の豊かな食生活と健やかな暮らしに奉仕する」ことを企業使命に掲げる我々にとって、人口減少エリアへの出店は、その存在意義を見つめ直す機会でもあると捉えています。
また、マルミヤストアの店舗拡大という観点からも、既存の物流システム内で比較的シェアの低い県北エリアへの出店は、合理的なものだと判断しました。しかし、単純に拡大のための出店かといわれると、そうともいえません。当社が出店を検討する場合、悪くても前年比100%で事業計画を作成しますが、今回の出店では、売上が3年ごとに3%の減少見込みで想定しています。働いている方も65歳以上の方が多い。3年後とか5年後には、業務負担を減らす何らかの施策が必要になってくると考えています。
――今後の出店計画は?
池邉 当社は食品スーパーのマルミヤストア、生鮮主体の新鮮マーケット、ディスカウントのアタックスマートと3業態を展開しております。物流効率を考えると、既存商圏内での出店が条件となりますが、競合との兼ね合いを見ながら、地域に合った業態で店舗拡大を図っていきます。まずは、今回の安心院、院内の2店舗をしっかりと引き継いで、地域の皆さまの普段の生活をサポートしていきたい。日本全体が人口減少社会に突入しているなかで、持続可能な地域の食生活インフラとなれるよう、引き続きお客さまに親しみやすく、利便性の高い店舗づくりを続けてまいります。
【児玉 崇】
<COMPANY INFORMATION>
(株)マルミヤストア
代 表:池邉 恭行
所在地:大分県佐伯市野岡町2-1-10
設 立:1972年5月
資本金:8億828万9,500円
TEL:0972-23-8111
URL:http://www.marumiya-st.jp月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。
記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。
企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。
ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)関連記事
2024年3月28日 14:402024年3月21日 16:152024年3月16日 18:302024年3月25日 09:302024年3月6日 09:002024年2月21日 06:002024年3月29日 17:20
最近の人気記事
まちかど風景
- 優良企業を集めた求人サイト
-
Premium Search 求人を探す
- 業界注目!特集
-
産廃処理最前線
サステナブルな社会を目指す
- MAX WORLD監修
-
パーム油やPKSの情報を発信
パームエナジーニュース