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2021年04月14日 14:27

成功するための身だしなみ「Dress for Success」とは(1)

Princess Hiromi ファウンダー&デザイナー
島津 洋美 氏

 服の歴史とは、西洋(ヨーロッパとアメリカ)の衣服および服飾の歴史を指し、そのルーツははるかギリシャ・ローマ時代にまでさかのぼる。そして、日本における本格的な服の歴史はわずか100年に過ぎない。欧米世界では「Dress for Success」という言葉がよく知られており、「成功するための身だしなみ」という意味だ。私たちにどのような知恵を授けてくれるのだろうか。

 この言葉が現代にもつ意義について、Princess Hiromiファウンダー&デザイナーの島津洋美氏(ニューヨーク州弁護士)に話を聞いた。陪席は中川十郎・日本ビジネスインテリジェンス協会理事長。中川氏は商社時代(ニチメン・ニューヨーク本社開発担当副社長)にイタリア、フランス、ニューヨークファッションを手がけた。

リズクレボーン社でブランド戦略を担当

 ――島津さんは18歳のときに単身渡米されたとお聞きしています。

島津 洋美 氏
島津 洋美 氏

 島津洋美氏(以下、島津) 私は東京生まれの東京育ちで、高校卒業後に18歳で単身渡米しました。幼少のころから父には、「男尊女卑な日本から出て、アメリカに行って弁護士になれ」と言われて育ちました。父も大学、大学院はアメリカで、しかも私は当時、父からアメリカの平等で先進的な話を聞かされていたので、アメリカに行くことに抵抗感はまったくありませんでした。

 大学は外交官や政治家を多く輩出することで知られるジョージタウン大学に入りました。卒業後は、ボストンカレッジ法科大学院で法学博士号(J.D.)を取得、続いてニューヨーク州の弁護士資格を取得して、ウォール街の法律事務所で働きました。

 その後、コロンビア大学経営大学院で経営修士号(MBA)を取得し、ニューヨークの大手アパレルメーカーであるリズクレボーン社の戦略部門に転身しました。同社では統括マネジャー(GM)として、日本・アジア地域でのブランド戦略を10年以上にわたって手がけました。

 18歳で渡米してからはアメリカで勉強し、仕事をしてきました。ニューヨーク・ワシントン・ボストンなどの国際都市で、いろいろな人種の人たちと交流できたことが、今の私の人格をつくり上げています。

 「外国に行くのであれば、日本の文化を知り、尊重する日本人で行け」という父の教えもあって、アメリカの大学に留学することになっても、両親は日本でインターナショナルスクールを選びませんでした。「きちんとした日本語を話せること」、「日本の歴史をよく知っていること」、「日本の文化をきちんと理解できていること」、「日本人としての誇りをもっていること」など厳しく教育されたことに感謝しています。

 なぜなら、アメリカに住んでみるとよくわかるのですが、移民の国なのでいろいろな人種が混じっていて、ルーツといえるしっかりした「核」や、「格」といえるようなものがないと根なし草のようになってしまうきらいがあるからです。

 しかし、その核や格があり、日本の価値観や文化をシェアできるとわかれば、個人として尊敬され、交友関係も広がっていきます。アメリカのカルチャーはとても豊かで、アメリカ人・フランス人・イタリア人・メキシコ人などさまざまな国の人たちが、ダイナミックに文化交流をしています。

対等意識により友人・知人に恵まれる

 ――スムーズにアメリカの生活に溶け込んだのですね。

 島津 島津は800年続いた「ラスト サムライ」です。アメリカの私の友人・知人たちは日本のことをとてもよく知っていて、「文化の高い国である」と尊敬してくれました。当時のベストセラー「ジャパン・アズ・ナンバーワン()」(エズラ・ヴォーゲル著)の影響も手伝って、「サムライ」という言葉にもとてもよい反応を示してくれました。

 島津のDNAと現在の私の共通点といえば、「日本人は先進諸外国に比べて決して劣っていないと常に思っている」ことだと思います。アメリカやフランスなど先進諸外国に住んでいると、「日本より欧米のほうが優れていて素晴らしい」と思うようになる方もいます。

 しかし、私は日本人の考え方や行動などのすべてが最高であるとはいいませんし、また改善すべきところもあると思いますが、「その精神性は先進諸外国に比べても高い」ことは間違いないと思っています。対等に思うことによって、アメリカでの生活は学校においても仕事においても友人・知人に恵まれ、充実したものとなりました。

※:社会学者エズラ・ヴォーゲルによる1979年の著書。戦後の日本経済の高度経済成長の要因を分析し、日本的経営を高く評価している。日本人が日本特有の経済・社会制度を再評価するきっかけのひとつとなり、70万部を超えるベストセラーとなるなど一世を風靡した。 ^

(つづく)

【聞き手・文:金木 亮憲】


<プロフィール>
島津 洋美
(しまづ・ひろみ)
 東京都出身。ジョージタウン大学卒、ボストンカレッジ法科大学院で法学博士(J.D.)、ニューヨーク州弁護士資格を取得。ウォール街の法律事務所で働く。その後、コロンビア大学経営大学院で経営修士号(MBA)取得。ニューヨークの大手アパレルメーカー・リズクレボーン社で日本担当統括マネジャーとして日本・アジア地域のブランド戦略を担当。経営コンサルタントの傍ら、ニューヨークと東京でテキスタイル、立体裁断、デザインについて各分野の第一人者に師事。2011年Princess Hiromi創業。デザイナーとして、国際感覚をもつ知的で女性的な「個性を魅せる服」を創り出している。駐日スウェーデン大使館からの日本起業家賞、DELLグランドブレイカー賞など多数。著書に共著 「カラーセオリー イン ショップ」(日本実業出版社)がある。


中川 十郎(なかがわ・じゅうろう)
 東京外国語大学イタリア学科国際関係専修課程卒後、ニチメン(現・双日)入社。米国ニチメン・ニューヨーク本社開発担当副社長を経て、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授など歴任。日本ビジネスインテリジェンス協会理事長、米国競争情報専門家協会(SCIP)会員、中国競争情報協会国際顧問。2014年東久邇宮国際文化褒賞を授章。

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