2024年04月26日( 金 )

【熊本】産官学で総力を挙げて「新しい熊本を創る」(後)

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熊本商工会議所 会頭 久我 彰登 氏

皆が一丸となりやすい地域性

 ――熊本市内では19年9月にサクラマチ クマモトが開業したほか、今年4月にはJR熊本駅ビルのアミュプラザくまもとが開業するなど、市中心部での新たな開発が進んでいる印象です。

 久我 コロナ禍で市中心部の繁華街でも空き店舗が目立つようになり、老舗ホテルや老舗アパレル店も閉業するなど、熊本市内にはやや疲弊感や閉塞感が漂っています。そうしたなかで、今回の新たな熊本駅ビルの開業は、今年のエポックメーキング的な明るい話題だと感じています。

 ただし、既存の中心市街地である通町筋や桜町などは市街地が連続していますが、JR熊本駅とはやや距離があり、回遊性の面で弱い部分があります。これまで通町筋や桜町にきていた市内のお客さまが熊本駅ビルに行くことによって、単なるパイの奪い合いになっては意味がありません。JR熊本駅と桜町バスターミナル、通町筋の3カ所を巡回する「まちなかループバス」の試験運行も始まりますし、新幹線駅でもあるJR熊本駅には、九州全域から熊本市への誘客の役割を担っていただき、通町筋も桜町もそれぞれがエリアの魅力を高めることで、駅を起点に人の流れを誘導し、中心市街地全体の賑わいを向上させていかなければなりません。

 ――今後の熊本市のまちづくりの方向性について、何かご意見などは。

熊本商工会議所
熊本商工会議所

 久我 18年1月に当会議所と熊本経済同友会とで策定・公表した「熊本市中心市街地グランドデザイン2050」を基に、19年4月から熊本市による「まちなか再生プロジェクト」が始動しました。これは、容積率の割増しや高さ基準の特例承認、財政支援といったインセンティブにより、中心部の老朽化した建築物の建替えを促進し、災害に強く、魅力的で、いきいきと働ける都市空間の創造を目指していくものです。中心部ではサクラマチ クマモトに隣接する2つのビルや、通町筋の熊本パルコの建替えなどの大型の再開発事業が進むほか、今秋にはシンボルプロムナードなど花畑町一帯のオープンスペースも完成予定で、まちの“顔”がこれから大きく変わっていきます。市には、今後のまちづくりの方向性、青写真を描いていただくことを期待するほか、復興のシンボルである熊本城天守閣の内部一般公開も始まりますので、お城を核とした効果的な観光施策なども期待しています。

 ――最後に、熊本市の将来に対する期待の声をお聞かせください。

 久我 5年前の熊本地震を経て、皆が一丸となりやすいという地域性が、改めて見直されたように思います。熊本には、皆が同じ方向を向いて、声を合わせて、一緒に汗を流しながら頑張っていこうというパワーがあります。この点は、とても大きな強みではないでしょうか。

 当会議所でも、コロナ禍を乗り越えて「新しい熊本を創る」という意識で、地元大学と一緒にSDGsの取り組みの研究を始めています。SDGsを活動の基軸として新たな“ポストコロナ”の社会に適応する経済活動を促し、会員企業の事業継続や雇用維持、ひいては地域経済の再生のために、産官学連携の“チーム熊本”で総力を挙げて取り組んでいきたいと思います。

(了)

【坂田 憲治】


熊本商工会議所 会頭 久我 彰登 氏<プロフィール>
久我  彰登
(くが・あきと)
1955年12月、熊本市出身。宮崎大学農学部卒業後、78年に(株)鶴屋百貨店に入社。2001年取締役、09年取締役総合企画部主管兼業務部主管を経て、11年に代表取締役社長に就任した。21年5月に代表取締役会長に就任予定。熊本商工会議所では副会頭を経て、19年3月に会頭に就任し、現在2期目。

(前)

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