2024年04月20日( 土 )

【地銀再編】SBIHDが筑銀などと進める“地銀連合構想”に8行目が参加

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 筑邦銀行(久留米市)など全国の地銀10行との資本業務提携を目標に「地銀連合構想」を進めるネット金融大手のSBIホールディングス(HD、東京都港区)が5月14日、茨城県2位の地銀、筑波銀行(土浦市)と資本業務提携を含む合意書を結んだ。

 この結果、「地銀連合構想」への参加行は8行目。SBIHDは4月の2021年3月期決算説明会で、22年3月期決算期中に10行との資本業務提携を終える考えを表明していた。

筑邦銀行のATMを置く「ちくぎんマネープラザ」と併設する
金融商品相談の共同店舗「SBIマネープラザ」。
地銀連合構想で提携推進ツールの1つ
=久留米市東櫛原町

 同社は19年9月の島根銀行(松江市)を皮切りに、19年11月の福島銀行(福島市)、20年1月の筑邦銀行、同年2月の清水銀行(静岡市)、同年5月の大東銀行(福島県郡山市) 同年10月の東和銀行(前橋市)、同年11月の金融持株会社「じもとホールディングス(HD)」(仙台市)と、相次ぎ資本業務提携を発表した。じもとHDは仙台銀行と「きらやか銀行」(山形市)を傘下にもつ。

 地銀連合構想は、「第4のメガバンク構想」とも呼ばれる。SBIHDが全国各地の経営基盤の弱い地銀に資本を注入。共同金融持株会社の傘下で人口減少の危機に直面する地銀再編を後押しする狙いがある。

 同社の出資比率は、島根28.73%、福島17.86%、筑邦2.98%、清水2.46%、大東18.33%、東和最大1%、じもとHD18.19%。そして筑波は最大1億円。出資比率が2ケタ台の“救済”色の強い出資から、「お付き合い程度の出資」(筑邦銀行)まで資本提携のかたちは様々。清水銀行や筑波銀行とは株式を持ち合い、表面上はほぼ対等の関係を演出する。

 資本参加とともに力を入れているのが、国内外の株式や債券、投資信託といった金融商品の仲介、共同店舗の経営、地域ファンドの共同設立などで、緩やかな業務提携を織り込む。東和銀行や筑波銀行とは「戦略的業務提携強化に関する合意書」を交わした。ファンド組成を手がける合弁会社を設立し、地場企業の事業再生・承継、ベンチャー育成を支援するという。

 あの手、この手で、SBIHDの地銀連合構想は、第一段階の「参加10行」の目標達成に迫った。今後は出資条件や意識改革の強さなどを考慮に入れて資本提携先を絞り込むという。

 異なる銀行をまとめてシナジー効果を発揮するには、勘定系システムの共通化が不可欠だ。単独システムよりも、開発、維持、刷新の各段階で大幅にコスト削減され、経営をも左右しかねない。SBIHDは地銀連合構想に参画する地銀間の勘定系システムの共同化計画を温めているとされ、同社のコア「SBI証券」は、三井住友信託銀行(東京都千代田区)と折半出資した住信SBIネット銀行(東京都港区)を経営する。同行は22年夏をメドに予定する勘定系システムの刷新と合わせて、構想参加地銀間の勘定系システムを共同化する可能性が浮かんでいる。同行は07年9月の営業開始。預金残高は21年3月末現在、6兆2,938億円。地方銀行の上位行に匹敵する。

【南里 秀之】

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