2024年03月29日( 金 )

最先端の極端紫外線(EUV)露光装置はオランダのASMLの独壇場(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 スマホや家電などの製品がますます小型化、高機能化されるなか、これらの性能の実現に欠かせないのが、半導体である。半導体を委託生産するファウンドリー事業において、二強である台湾のTSMC、韓国のサムスン電子、さらにインテルなど半導体の生産を担う企業は将来の半導体の需要増加を見込んで巨額の投資を実行しており、半導体装置企業に活況がもたらされている。今回は、半導体装置企業のオランダのASMLを取り上げてみよう。

半導体 イメージ 半導体の主な需要はこれまでスマホ、パソコン、テレビなどの電子機器であったが、今後はこれらに代わり、産業用、電気自動車、風力などのエネルギー開発やインフラ関連がリードすることが予想されている。

 たとえば、自動車は電気自動車(EV)になると、半導体需要が大きく増えるとされる。加えて、自動走行やAIの普及も半導体需要の爆発的な増加要因と見込まれている。さらに、コロナ禍はデジタル・トランスフォーメーション(DX=デジタル技術を活用したビジネス・組織変革)を急激に推し進める起爆剤になっており、半導体需要の増加による半導体不足はすでに起きている。

半導体製造工程のなかの露光装置とは

 上記のように、半導体市場は需要が増え続ける「スーパーサイクル」に突入したことを背景にして、半導体の製造企業が利用する半導体製造装置市場も活況を呈している。半導体の製造工程はとても複雑でさまざまな工程があるが、そのなかで最も重要な部分を担っている装置は、露光装置である。

 露光装置は光を利用して、シリコンウエハーの上に電子回路のパターンを描く工程である。大きなガラス板に電子回路のパターンが描かれているフォトマスクを、極めて高性能なレンズで縮小して、シリコンウエハーと呼ばれるシリコンの板の上に塗布した材料(フォトレジスト)に強いレーザー光を照射して感光させる装置だ。

 半導体製造の世界では超微細化が進行しており、回路が微細化すればするほど、チップが小型化して性能は上がるが、消費電力は下がる。ところが、微細化も限界に達しつつあり、さらに短い波長の光を使うことで、さらに微細な回路を描く試みが行われている。既存のアルゴン・フッ素エキシマレーザーの波長は193nm(ナノメートル)であることに対して、極端紫外線(EUV)の波長は13.5nmと約14分の1まで短くなり、それだけ微細な回路を描くことができるとされる。

(つづく)

(後)

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