2024年04月26日( 金 )

工業都市からスーパーシティへ、九州2位・北九州市の栄枯盛衰(6)

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海峡と歴史のまち・門司区、文教の戸畑区、環境産業の若松区

黒崎駅
黒崎駅

 北九州市の北部、九州の最北端に位置し、関門海峡を挟んで下関市と向かい合う門司区は、古くより九州の陸の玄関口として位置づけられてきた。近年では門司港駅を中心とする門司港エリアは、「門司港レトロ」として歴史的建造物や観光施設、宿泊施設、商業施設が立ち並び、市内でも有数の人気観光地となっている。一方で、周防灘に面した新門司地区には、港湾設備や臨海工業用地が整備され、違った景観が広がっている。

 現在、区西部の大里地区にある旧門司競輪場の跡地では、第一交通産業と第一ホーム(株)のグループが、80戸の共同住宅と20戸の戸建住宅からなる大規模な再開発プロジェクトを進行中。ほかに、九州三共の「リヴィエールルフチュール原町別院」(総戸数30戸、21年2月竣工)、タイヘイの「サンライフ別院通り」(総戸数42戸、22年5月上旬竣工予定)、なかやしきの「アーティックス門司ヘリテイジ」(総戸数139戸、22年10月竣工予定)などのマンション開発も進む。

建設中の「ライブスクエア光貞台」
建設中の「ライブスクエア光貞台」

 7区のなかで最も小さい面積の戸畑区は、区域の約半分を占めるJR鹿児島本線以北の臨海部が日本製鉄九州製鉄所関連の重工業エリアとなっており、市街地は主にJR線路南側のエリアに形成。区の中心付近に位置する仙水町では、市内唯一の国立大学である九州工業大学と、隣接する私立・明治学園(小学校・中学校・高等学校)などがあり、その周辺は文教区の様相を呈している。また、戸畑駅の駅前再開発で誕生したイオン戸畑ショッピングセンターや、福祉会館と市民会館が一体となったウェルとばたなどの施設もあり、小倉と黒崎の間に位置することで近年は住宅地としての人気が高い。そのため、なかやしきの「アーティックス戸畑沖台」(総戸数35戸、20年12月竣工)、日鉄興和不動産(株)の「グランリビオ沢見ザ・レジデンス」(総戸数98戸、21年3月竣工)、タイヘイの「サンライフ戸畑センターステージⅠ」(総戸数53戸、21年7月下旬竣工予定)、九州三共の「リヴィエール九工大駅リゾシア」(総戸数37戸、21年7月竣工予定)、第一交通産業の「グランドパレス一枝」(総戸数134戸、21年8月竣工予定)など、多くのマンション開発が進んでいる。

 市の北西部に位置し、北の響灘と南の洞海湾に挟まれた若松区は、中心部である若松駅周辺に公共施設や商業施設が集積する一方で、北部の海岸が玄海国定公園に含まれ、市内唯一の海水浴場があるなど、豊かな自然が特徴的なエリアとなっている。そうした立地を生かし、同区内では、18年1月に竣工した「響灘ウインドエナジーリサーチパーク」をはじめ、風力発電などのエネルギー関連産業の集積を目指す「グリーンエネルギーポートひびき」事業が進行。響灘洋上風力発電施設のプロジェクトが進むなど、市内でも有数の環境産業の拠点となっている。

 一方で、区西部のひびきのエリアには、北九州学術研究都市として高等教育機関や研究所が集積。前出の八幡西区の折尾・本城やコストコなども近く、文教地区として人気のエリアとなっている。これまで若松区から洞海湾を挟んだ戸畑・小倉方面へは、若戸大橋を通るか、若戸渡船を利用するかしかなかったが、12年9月に若戸トンネルが開通。交通利便性が向上した。なお、他区に比べるとマンション開発は旺盛ではないものの、なかやしきの「アーティックス若松アデッソ」(総戸数35戸、20年9月竣工)などが進んでいる。

若戸大橋
若戸大橋

(つづく)

【坂田 憲治】

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