2024年04月20日( 土 )

福岡と名古屋を皮切りに、穴吹工務店が学生向けマンションに参入

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プロジェクト第一弾始動

 全国で「サーパスマンション」を供給する(株)穴吹工務店(香川県高松市、徳田善昭社長)が、学生向けの賃貸マンション事業に新規参入する。

 同社は全国46都道府県で1,500棟以上の分譲マンションを開発しており、これまで、さまざまな土地の情報を収集・分析してきた。そのなかには、住環境は魅力的だが、面積や地形などにより分譲マンションの開発には適さない土地も存在する。今回のプロジェクトは、「そうした土地を有効活用できないか」というところからスタートしたという。

 同社不動産活用推進部 事業開発室 係長・佐藤真一郎氏は、「高齢者向け住宅にしたり、ドラッグストアやホームセンターなどの流通店舗に活用したりすることも、もちろん検討しました。では、なぜ当社が少子化の状況下、学生向け賃貸マンション市場に着目したのか。それはこの数十年、大学進学率が右肩上がりに上昇しているからです」と説明する。文科省によると、日本国内の大学進学率は1990年代の30%台から2020年には54%に上昇しており、同社では今後もこの傾向が続くものとみている。 

 同社では第一弾として現在、九州産業大学(福岡市東区)周辺に建設する「(仮称)福岡市東区松香台プロジェクト」と、南山大学(名古屋市昭和区)周辺に建設する「(仮称)名古屋市昭和区山里町プロジェクト」という2つの学生向け賃貸マンションプロジェクトを進めている。竣工はともに22年1月の予定。

マンション内に食堂を併設

 福岡市と名古屋市の物件に共通するのは、厳重なセキュリティだ。オートロックはもちろんのこと、防犯カメラの設置や、玄関ドアへの電子錠の採用など。これらは分譲マンションでは当たり前のように設置されているが、学生用の賃貸マンションでは「標準で設置されているところはまだ少ない。こうした設備があることによって、保護者の方は安心して子どもさんに一人暮らしをさせることができるでしょう」(佐藤氏)という。 

 「(仮称)福岡市東区松香台プロジェクト」において特徴的な施設として挙げられるのが、管理栄養士監修の食事(朝食・夕食)を提供する食堂(運営:(株)ジェイ・エス・ビー)の存在で、入居者は朝・夕の決められた時間内であれば、その食堂で食事することができる。また、漫画、雑誌、本を取りそろえた「コミックスペース」を設置しており、文字通り、漫画や本が読めるほか、入居者同士のコミュニケーションのためのスペースとしての利用も期待しているという。 

 大学の寮など、食堂がある施設には部屋にキッチンがないケースも多いが、同マンションでは学生のさまざまなニーズに応えるべく、室内にキッチンを設置。また、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、机、椅子、ベッドといった家具や家電を標準で設置。佐藤氏は、「必要最低限の手荷物をもって入居するだけで、新生活を始めることが可能です」と話す。 

 今後、まずは学生数が多い国立大学周辺での展開を考えているという。九州大学や熊本大学周辺でのマンション建築についても、「当然、選択肢のなかに入っています。当社では今後もサーパスマンション事業が主力となりますが、不動産活用事業の一環で学生向け賃貸マンション事業に関しても、積極的に展開を図っていくつもりです」(佐藤氏)。

【新貝 竜也】

(仮称)福岡市東区松香台プロジェクト

(仮称)福岡市東区松香台プロジェクト

【物件概要】
所在地:福岡市東区松香台1-194
構造・規模:鉄筋コンクリート造 地上4階建て
総戸数:80戸
竣 工:2022年1月予定
設計・監理・施工:(株)へいせい
運 営:(株)ジェイ・エス・ビー

(仮称)福岡市東区松香台プロジェクト

(仮称)名古屋市昭和区山里町プロジェクト

(仮称)名古屋市昭和区山里町プロジェクト

【物件概要】
所在地:愛知県名古屋市昭和区山里町59
構造・規模:鉄筋コンクリート造 地上5階建て
総戸数:51戸
竣 工:2022年1月予定
設 計・監理:(株)加藤設計
施 工:(株)中村工業
運 営:(株)ジェイ・エス・ビー

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