2024年05月19日( 日 )

日本がいまも戦前を引きずる理由

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は「8月15日が日本軍無条件降伏発表の日であり、9月2日が日本敗戦の日である。『戦後史の正体』を正確に知ることが極めて重要だ」と訴えた8月15日付の記事を紹介する。

8月15日は天皇が日本敗戦を国民に知らせた日。
敗戦広報の日=ポツダム宣言(降伏要求)受諾広報の日である。

「終戦」と「敗戦」では言葉の意味が大きく異なる。
日本が降伏したから戦勝国が戦争を終わりにしてくれただけのこと。

日本が戦争を終わらせたのではない。
しかも、戦争が終結したのは8月15日でない。

1945年9月2日に東京湾上のアメリカ戦艦ミズーリの甲板上において、日本の降伏文書(日本と連合国との間の停戦協定(休戦協定))が調印され、即日発効した。
9月2日が敗戦の日であり、終戦の日。

日本政府は無謀な戦争に突き進み、内外に甚大な犠牲を生み出して敗北した。
敗戦の決断が早ければ犠牲を若干でも少なくすることは可能だった。
戦争責任は計り知れない。

戦争責任を明確にするためにも「終戦の日」ではなく「敗戦の日」の表現を用いる必要がある。
結果に対する責任を明確にせず、あいまいにしてきたことが今日の日本の惨状をもたらす重要な原因になっている。

日本政府は日ソ中立条約の締結国であるソ連に和平講和の仲介を託していたが、8月6日の広島市への原子爆弾投下、8月8日のソ連対日宣戦布告、8月9日の長崎市への原子爆弾投下という事態に直面して、ポツダム宣言の受諾を
決定した。

日本政府は8月10日にポツダム宣言の受諾を外交公電として連合国に向けて通告。
日本政府は同時に中立国を通じて「国体(天皇制)の変更をともなわないかどうか」を連合国側に確認した。
しかし、その確答を得られぬまま、8月14日の御前会議でポツダム宣言受諾を正式に決定した。

45年8月15日正午、前日に公布された「大東亜戦争終結ノ詔書」を昭和天皇が朗読したレコードがラジオ放送された。
これが「玉音放送」。
天皇による敗戦広報である。

この放送で国民と陸海軍に「ポツダム宣言の受諾」と「軍の降伏の決定」が伝えられた。

ポツダム宣言とはイギリスのチャーチル首相、中華民国の蔣介石国民政府主席、米国のトルーマン大統領の共同声明として45年7月26日に発表されたもの。
全13箇条から成る「日本への降伏要求の最終宣言」。

ドイツ降伏後の45年7月17日から8月2日にかけて、ベルリン郊外ポツダムにおいて、英国、米国、ソ連の3カ国首脳が第二次世界大戦の戦後処理について話し合った。
これが「ポツダム会談」。

宣言文の大部分はアメリカによって作成され、イギリスが若干の修正を行った。
署名は米国のトルーマン大統領が自身を含めて3人分行った。
中華民国の蔣介石の了承は無線で得た。
ソ連は事後に追認。

「ポツダム宣言」には以下の内容などが盛り込まれた。

合衆国大統領、中華民国政府主席、および英国総理大臣は、我々の数億の国民を代表し協議の上、日本国に対し戦争を終結する機会を与えることで一致。
3カ国の軍隊は増強を受け、日本に最後の打撃を加える用意をすでに整えた。
この軍事力は、日本国の抵抗が止まるまで、同国に対する戦争を遂行する一切の連合国の決意により支持されかつ鼓舞される。

世界の自由な人民に支持されたこの軍事力行使は、ナチス・ドイツに対して適用された場合にドイツとドイツ軍に完全に破壊をもたらしたことが示すように、日本と日本軍が完全に壊滅することを意味する。

日本が、無分別な打算により自国を滅亡の淵に追い詰めた軍国主義者の指導を引き続き受けるか、それとも理性の道を歩むかを選ぶべき時が到来した。

日本国民を欺いて世界征服に乗り出す過ちを犯させた勢力を永久に除去する。
無責任な軍国主義が世界から駆逐されるまで、平和と安全と正義の新秩序も現れ得ないからだ。

新秩序が確立され、戦争能力が失われたことが確認される時まで、我々の指示する基本的目的の達成を確保するため、日本国領域内の諸地点は占領されるべきものとする。

カイロ宣言の条項は履行されるべきであり、又日本国の主権は本州、北海道、九州および四国ならびに我々の決定する諸小島に限られなければならない。

日本における捕虜虐待を含む一切の戦争犯罪人は処罰されるべきである。
日本国国民が自由に表明した意志による平和的傾向の責任ある政府の樹立を求める。
日本政府が全日本軍の即時無条件降伏を宣言し、またその行動について日本政府が十分に保障することを求める。

※続きは8月15日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「日本がいまも戦前を引きずる理由
」で。


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