2022年01月25日( 火 )
by データ・マックス

【縄文道通信第72号】温故知新シリーズ―縄文土器発明の偉大さ~縄文道―武士道-未来道(前)

(一社)縄文道研究所

 Net-IB Newsでは、(一社)縄文道研究所の「縄文道通信」を掲載していく。
 今回は第72号の記事を紹介。

縄文土器発明の偉大性~縄文土器と日本陶磁器文化の系譜、4回シリーズ

 『30の発明からよむ日本史』(日経ビジネス人文庫発行、京都大学理学部教授・池内 了監修)では、日本史での最古で最高の発明の第1位は縄文土器と述べられている。

 池内氏は、最近の発明である、光ファイバー、自動改札機、カラオケ、青色発光ダイオードを生み出した頃まで、日本人は「創造と工夫の国」であったとの視点で述べている。

 「日本で見つかった縄文土器は世界最古級で、世界四大文明の起こった時期よりもはるかに前につくられていたことは間違いない。食料の保管や加熱調理によって縄文人の食生活を劇的に変化させただけではなく、すなわちムラの出現につながった」

 北海道、東北3県の17カ所の縄文遺跡が2021年7月27日、ユネスコの世界遺産に登録された。このなかの青森県大平山元遺跡から発掘された縄文土器が炭素検査法により、約1万6,500年前につくられた世界最古の土器といわれる。日本は「縄文天国」といわれるように北の北海道から南の沖縄まで約9万カ所の縄文遺跡が存在し、これら遺跡から発掘された縄文土器の種類は約70種類と多様である。

 縄文土器の特徴を3つに要約すると、以下の通りになる。

(1)北海道から沖縄まで各地域でそれぞれ独自の土器をつくっていた。地域性がそれぞれの縄文人の生活感を表している。

(2)縄文文化は歴史的に約1万3,000~1万4,000年と長期間続いたため、時代によって、形状、装飾性、用途を含め、多様性を有している。

(3)縄文土器の固有の芸術性、造形性、装飾性、神秘性が、歴史を超えて独自の迫力で伝わってくる。

縄文土器 イメージ   世界の考古学者、文化人類学者、歴史家が、縄文土器の独自性と芸術性を褒めたたえている。世界的な文化人類学者でもあり、哲学者のレビー・ストラウス博士の印象記を以下に紹介したい。

 「日本に3度来日した知日派の、20世紀最高の文化人類学者は縄文土器と最初に出会い、驚異の鑑賞眼で、土器が有する固有の造形感覚に心打たれた。大変な芸術性を有すると評価したのだ。さらに(ストラウス)博士は土器の制作の裏に隠された、縄文人の知恵の高さを見抜いて縄文文化の素晴らしさと日本文化全体を高く評価した」

 天才的画家の岡本太郎氏は、日本の戦後の経済的にも厳しい1951年11月7日、上野の博物館で縄文土器と出会った。岡本氏は、縄文土器の発する凄まじいエネルギーと迫力に圧倒され、「これは、何だ」と叫んだようだ。岡本氏はそれ以来、縄文文化にのめり込んで日本中の縄文遺跡を訪ね、独自の縄文文化観を形成した。70年の大阪万博で発表された「太陽の塔」は縄文文化の偉大さを表出した代表的作品といわれる。

 筆者の縄文土器との劇的な出会いは32年前に遡る。筆者が商社マンとして豪州のパースに駐在時、現地の陶芸クラブにて、岡本氏が『みずゑ』に寄稿した「四次元との対話 縄文土器論」という文章に出会った。日本のバブルの絶頂期である89年10月7日に上野の博物館で縄文土器に出会い、その迫力に衝撃を受けたのだ。同時期に世界的な陶芸家、人間国宝の島岡達三氏の笠間の工房を訪れ、島岡氏の代表作「縄文象嵌」を頂戴したのも同時期だ。

<参考資料>
『30の発明から読む日本史』(池内了監修、日経ビジネス人文庫)
『縄文土器ガイドブック』(井口直司著、新泉社)
『考古学ハンドブック』(小林達雄著、新書館)
『世界史を変えた新素材』(佐藤健太郎著、新潮選書)
「日本陶磁器文明の世界的な影響力」(加藤春一、講演資料)
「2012年 丸の内朝飯会」(上智大学マスコミ・ソフィア会)


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