【九州地方整備局 新局長インタビュー】気候変動を考慮した防災・減災まちづくりと、広域交通ネットワーク整備による九州地域のさらなる飛躍を
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九州地方整備局 局長 藤巻 浩之 氏
2021年7月、九州地方整備局の局長に藤巻浩之氏が就任。今回の就任にあたっての抱負や、九州のまちづくりに必要なことなどについて、藤巻氏に話を聞いた。
都市としての機能強化を促進
――まずは就任にあたっての抱負をお聞かせください。
藤巻 九州は山海の幸に恵まれた自然豊かな地域である一方で、近年は熊本地震(2016年)や九州北部豪雨(17年)、令和2年7月豪雨(20年)といった大規模災害が頻発しており、相応の自然災害リスクを内包する地域でもあります。そのためまちづくりには、防災・減災の視点が欠かせません。
また、九州はアジアに開かれたゲートウェイ機能も有しているため、アジア諸国の経済成長を九州の産業発展に取り込むことで、日本全体の経済成長に寄与することが重要だと考えています。少子高齢化をともなう人口減少に歯止めがかからないなか、誰もが安全・安心で、生きいきと暮らせる、活気溢れる九州をつくるために、「九州らしさとは何か」、そして「私たちができることは何か」を常に意識しながら、職務に励んでまいります。
――これまでの九州との関わりについて、思われることなどございますか。
藤巻 もともと九州とは縁のない生まれ・育ちではありますが、国家公務員生活の約半分を九州で勤務させていただいたこともあり、大変深いつながりを感じております。公務を通じて育んできた九州とのご縁を大切にしながら、今後の職務に取り組んでいきたいと考えています。
――21年度に実施予定のもので、とくに注力されている事業概要についてお聞かせください。
藤巻 「令和元年8月豪雨」や「令和2年7月豪雨」などの発生にともなう被災地の復興を全力で支援するとともに、気候変動にともない激甚化・頻発化する水害・土砂災害などに対しても、あらゆる関係者(国・都道府県・市町村・企業・住民など)が連携し、流域全体で取り組む「流域治水」を推進するため、その実現に向けて、各水系で策定した「流域治水プロジェクト」を一層加速してまいります。また、流域治水の考え方も踏まえながら、立地適正化計画の「防災指針」などに基づき、防災上“危険”と判断されるエリアからの居住地の移転を促進することで、防災・減災が主流化したコンパクトシティの形成に取り組んでまいります。
さらに、国民の暮らしや生命を守るために不可欠な社会インフラに対する代替性の確保や、地域活性化に資する道路ネットワーク整備による各地域と拠点の連携、また、我が国の成長力を支える物流ネットワークをはじめとする基幹ネットワークの構築も並行して進めていきます。目標の達成に向けて、大きなストック効果の発揮が見込まれる道路整備に重点投資するなど、計画的な事業展開を図っていく所存です。
港湾事業においては、カーボンニュートラルポートを視野に入れた機能の高度化などを通じて、持続的な経済成長の達成、国民の安全・安心の確保、地域における基幹産業の競争力強化を、空港事業におきましては、ゲートウェイ機能のさらなる向上を目指し、滑走路の増設や延長などによる、受入環境整備をそれぞれ推進してまいります。
(つづく)
【代 源太朗】
<プロフィール>
藤巻 浩之(ふじまき・ひろゆき)
神奈川県出身。京大大学院工学研究科を修了後、1991年に旧建設省に入省。八代河川国道事務所長、九州地方整備局企画部長などを歴任し、2021年7月、九州地方整備局局長に就任した。- 1
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