2024年04月20日( 土 )

2試合連続の大量得点!アビスパの勝利が止まらない 福岡3-0鹿島

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 サッカーJ1リーグのアビスパ福岡は9月11日、アウェーの県立カシマサッカースタジアムで鹿島アントラーズと第28節の試合を行った。

 前節、徳島ヴォルティスに3-0と快勝したアビスパ福岡。川崎フロンターレの無敗記録を止めた26節から2連勝で、鹿島アントラーズのホームに乗り込んだ一戦だ。茨城県独自の緊急事態宣言が発出されていたため、無観客での開催となった。

 鹿島アントラーズは「神様」ジーコ以来の伝統を受け継ぐ強豪。J1リーグ戦で8回、Jリーグカップ(YBCルヴァン杯)で6回、天皇杯で5回の計19回の優勝はJリーグトップ。2018年にはAFCアジアチャンピオンズリーグで優勝もはたしている。
 現日本代表のFW大迫勇也、MF柴崎岳をはじめ名選手も数多く輩出。自他ともに認める名門クラブだ。

 J1リーグ戦での前回対戦は3月。アビスパのホーム・ベスト電器スタジアムで行われた一戦は、レッドカードで数的不利になった鹿島を試合終了直前のゴールで突き放し、貴重な勝ち点3をもぎ取った試合だった。

 この日の試合は、鹿島がボールをもち、アビスパが堅固な守備で対応するかたちでスタート。鹿島は前線の東京五輪代表FW上田綺世、テクニックと得点力のあるFW土居聖真にボールを送りたいが、アビスパは容易にそれを許さない。アビスパでは、今シーズンの堅守を支えるDF奈良竜樹が出場できないが(鹿島アントラーズから期限付き移籍のため)、代わって先発出場したDF宮大樹は堅実なプレーでピンチの芽を刈り取っていく。

 まずチャンスを迎えたのは鹿島。12分、鹿島ボールのコーナーキック。アビスパ守備陣が跳ね返したボールを中盤深い位置で拾った鹿島MFディエゴ・ピトゥカが左サイドに大きく展開、MF和泉竜司が走り込むがタイミングが合わずフィニッシュには至らない。

 続いてアビスパにチャンスが転がり込む。16分、FW山岸祐也がシュート体勢に入る。それを見たFWフアンマ・デルガドがペナルティエリア内に走り込み、フアンマは詰めてきた鹿島GK沖悠哉ともつれ合って倒れる。谷本涼主審はすかさずホイッスルを吹き、アビスパのPKとなった。

 PKを蹴るのはFW山岸。冷静に狙いすましたシュートはゴール左隅に飛ぶが、ボールはゴールポストを叩き、ノーゴールとなってしまう。

 アビスパサポーターが感じたいやな空気を一掃したのが26分のプレーだ。DFドウグラス・グローリが最終ラインで刈り取ったボールをFW山岸が拾い、FWフアンマとワンツーでパス交換。FW山岸はさらに前を向いて競りかける。こぼれたボールをMF中村駿が拾って右サイドに展開すると、MF金森健志はクロスボールに見せかけてペナルティエリア内にグラウンダーのパスを選択。MF杉本太郎がこれをスルーし、そしてFW山岸が左にはたくと、絶好のポジションをとっていたFWフアンマがゴール右隅に突き刺す完璧なシュートを決めた。流れるようなコンビネーションに鹿島DF陣はまったく対応できず、FWフアンマは完全にフリーの状態でシュートを放つことができた。鹿島のお株を奪う、華麗なパスワークでの先制点だ。

 さらに40分。最終ラインのDF宮が利き足の左で、右サイドに上がっていたDF湯澤聖人に正確なサイドチェンジのロングパスを通す。ボールをもったDF湯澤は近寄ってきたMF金森とのワンツーで鹿島DF安西幸輝を置き去りにすると、ゴール前に高速のグラウンダークロスを送る。これにドンピシャのタイミングで走り込んだFWフアンマがピンポイントで合わせ、この試合2点目となるゴールを決めた。FWフアンマは優れたフィジカルとテクニックで前線の起点となる献身的なプレーを続けていたが、この試合前までは2得点とゴールには恵まれていなかった。その埋め合わせとばかりに連続得点を挙げ、チームも一気に勢いづく。

 そのまま試合は後半へ。52分、鹿島は右サイドでボールをもったFW土居聖真がペナルティエリア内に高速のアーリークロスを入れる。そのボールにFW上田がダイビングヘッドで頭から突っ込み、アビスパGK村上昌謙も躊躇せず体を投げ出す。激しく交錯した両選手はフィールドに倒れ、ボールはゴールに向かって転がるが、DFグローリがこれを落ち着いてクリア。GK村上はしばらく起き上がれないほどの衝撃を受けたが、大事には至らずそのままプレー続行となった。

 そして試合を決定づけるプレーが飛び出したのは64分。DFグローリのクリアボールを拾ったDF湯澤が右サイドをもちあがり、相手DFのあいだを通すパスをMF金森に送る。金森はボールをいったん持ち替えると、振り向きざまに左足の正確なクロスを供給。これをFW山岸がヘディングで合わせると、シュートは鹿島GK沖の手を弾いてネットに突き刺さった。

 後半、鹿島は攻撃的な選手交代をしてアビスパゴールに迫るが、守備陣はあわてることなく対応。そのままタイムアップとなった。これまで堅守のチームとみられていたアビスパであるが、なんと2試合連続での3-0勝利を挙げたのだ。

 前節の結果で、今シーズンの1つの目標だった「J1残留」をほぼ手中に収めたアビスパであるが、今節は強豪鹿島に完勝することで勝ち点以上の自信を勝ち得ることができた。試合後のインタビューで長谷部茂利監督が「これまでの鹿島のようなプレーをできたのではないか」と語っていたように、早い時間帯での先制点、前半終了間際の追加点、そして後半も半ばになってのダメ押し点、さらには鉄壁の無失点と、まさに「試合巧者」の名をほしいままにしていると言っていいのが今のアビスパのサッカーだ。

 次節は9月18日(土)、アウェーの湘南ベルマーレ戦。湘南は現在15位、降格ラインを争う苦しい戦いを続けており、何としても勝利が欲しいはず。だが現在8位のアビスパには、「1つでも上の順位を」という新しい目標がある。一歩も引かず、貪欲に4連勝を狙うアビスパの姿をDAZNで応援しよう。

【深水 央】

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