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2021年09月14日 16:30

「おかでんチャギントン電車」を通じた子どもから大人への交通教育(前)

運輸評論家 堀内 重人 氏

「チャギントン電車」導入の理由とは?

 低床式の路面電車「MOMO」などを運行する岡山電気軌道(株)は2019年3月16日、英国のアニメキャラクターである電気機関車やディーゼル機関車を模した「おかでんチャギントン電車」(以下、チャギントン電車)と呼ばれる路面電車の運行を開始した。

 「MOMO」と同様に、2車体連接の低床式車両であり、赤色の車体が「ウイルソン」、青色の車体が「ブルースター」と命名されている。

 同社は1912年5月5日から路面電車の運行を開始しているが、「チャギントン電車」のような観光用の電車の導入は、これが初めてとなる。

チャギントン電車 イメージ この「チャギントン電車」の導入には1編成2両で約5億円もかかり、主力である「MOMO」の導入コストの2倍以上になる。なぜ、同社は大きな費用を投じてまで、「チャギントン電車」を導入したのか。その理由は、「移動の手段としての乗り物」から「乗ることが目的となる乗り物」への脱皮である。

 同社ではすでに「MOMO」を使用した「ワイン電車」などを運行しており、夜の岡山のアトラクションとして地域に活力を与えていた。だが、「ワイン電車」は女性の利用が多いとはいえ、完全に大人向きの観光電車であった。同社としては、子どもたちに夢を与えると同時に、岡山の街の活性化を図り、地方の公共交通の未来に繋がる活動を実施したいという思いがあった。

移動手段ではなく観光用の電車

 「チャギントン電車」は通常の乗合の電車として運行されておらず、乗車するには設定されたツアーに申し込む必要がある。運行経路は2通りある。1つ目は、岡山駅前を発車して清輝橋間を往復し、その後に東山へ向かうコース。2つ目は、東山を発車して岡山駅前へ向かい、清輝橋間を往復して岡山駅前着となるコースである。清輝橋電停では乗降を実施せず、すぐに向きを変えて岡山駅前電停に向けて折り返す。

 各コースとも所要時間は約50分で、車内ではナビゲーターのお姉さんが2名乗務して、お客を楽しませてくれる。

 代金(税込み)は平日と、土日・祝日・春夏冬休みにわかれている。平日は大人(中学生以上)が3,400円、小人(1歳~小学生)が1,900円となっている。土日・祝日と春夏冬休み期間は大人が3,500円、小人が2,000円と、100円だけ値上がりする。

 通常の路面電車だと、岡山駅前から清輝橋や東山までの片道運賃は大人が140円、子どもが70円である。また、子どもの運賃が適用されるのは小学生からであるのに対し、「チャギントン電車」は移動手段ではないため、1歳になれば適用される。

 大人が岡山駅前電停から清輝橋まで往復し、そして東山まで乗車した場合は、岡山駅前から清輝橋までの往復運賃280円に東山までの運賃140円を加えた420円となるため、平日であっても3,400円という運賃は非常に割高だと感じてしまう。

 「チャギントン電車」は移動手段ではなく、観光用の電車であるから、「旅行商品」として販売される。そのため、通常の路面電車とは単純に比較できない面もあり、代金には以下のようなものが含まれている。

(1)運賃と電車設備利用料
(2)おかでんミュージアム入館料
(3)岡山電気軌道の路面電車の1日乗車券
(4)乗車記念品

 (1)の電車設備利用料であるが、車内には2名のナビゲーターが乗務し、お客にサービスを提供する。また、乗降を実施する岡山駅前電停と東山電停では、ほかの乗客の誤乗を防いだり、子どもが道路へ飛び出す事故を防いだりすることも兼ねて、係員がそれぞれの電停に1名勤務しているため、そうした人件費と考えればよいだろう。

(つづく)

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