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2021年09月24日 16:30

【BIS論壇No.352】続日本衰退論

 NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会会長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
 今回は2021年9月23日の記事を紹介。

   首記に関して、これまで、『リープフロッグ』(野口悠紀雄著)、『ファクトで読むー米中新冷戦とアフター・コロナ』(近藤大介著)、『中国VS.世界』(安田峰俊著)、『2030年ビジネスの未来地図』(『THE21』編集部)など活用し、日本はこのままでは衰退するという「日本衰退論」を論じてきた。

 今回は『貧乏国ニッポン』(加谷珪一著)、『アメリカは中国に負ける 日本はどう生きるのか』(孫崎 享著)、『10大民族で読み解く世界史の興亡』(宮崎正勝著)なども参考にしつつ、「続・日本衰退論」を論じたい。

日本 衰退 イメージ 『アメリカは中国に負ける 日本はどう生きるのか』の著者である孫崎享氏は「2010年に中国は1968年以来42年間世界第2位を保持してきた日本を抜き去り、世界第2位のGDP大国になった。後世、歴史家は2010年を東アジアでの大転換の象徴的年とみなすだろう」「中国がGDPで日本を抜いたという現象は世界2位の経済大国をめぐる戦いに終わらない。中国が米国を追い抜く序章でもある」と予見している。

 中国は2030年前後に米国を追い抜き、さらにインドが日本を追い抜くだろうと予測される。そうなるとGDP1位は中国、2位米国、3位インド、4位日本となる。

 日本では平成の30年間、賃金が上がっておらず、逆に下がっている状態だ。日本での初任給は20万円程度が普通だ。Googleやアップルの新入社員の年収は1,500万円以上。一般的な米国企業の大卒初任年収は500~600万円が普通だ。日本と比較すると2倍以上の開きがある。中国ファーウェイ日本法人の大卒初任給は40万円と日本企業の2倍近くであることが話題になった(『貧乏国ニッポン』より)。

 スイスのビジネススクールIMDの調査によると、日本は1990年代初期に世界競争力ランキング1位だった。しかし、2003年に27位に低下。19年にはさらに30位に後退。19年には1位シンガポール、2位香港、3位米国、4位スイスとなり、中国の14位、台湾の16位、ドイツの17位、マレーシアの22位、タイの25位、韓国の28位よりも、日本は下位となる30位にランク。インドネシアが32位で日本を追い上げているという情けない状況である。

 中国とロシアが主導するSCO(上海協力機構)にはタジキスタン、キルギス、カザフスタン、ウスベキスタンに加え、西アジアの雄であるインド、パキスタンが加盟。9月の会議でイランの参加も検討されている。中国はRCEP(東アジア地域包括的経済連携)15カ国の締結に続き、このほど11カ国のTPP(環太平洋連携協定)への加盟も申請。一帯一路戦略に加え、アジア太平洋への進出も努力している。日本は、近未来に世界第1位のGDPになる中国との経済分野での協力を強化し、日本衰退に歯止めをかける戦略を真剣に考究すべきではないか。


<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)

 鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)

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