フリーランスとして適正に働ける環境へ「一人親方問題」
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各現場の実態とグレーゾーン
検討会では、構成員への聞き取りを基にした一人親方の実態が発表された。施工体制台帳や施工体系図への記載が適正に行われた現場が増えつつある、といった前向きな意見がある一方で、書類提出や手続の煩雑さを理由に、雇用契約がないにも関わらず、上位下請企業の社員として、新規入場者教育や危険予知書類などに名前を記載して現場入場している一人親方も多いという意見が挙がっている。このような事態は、一人親方のメリットである現場への「応援」の際に散見されているようだ。
また、現場入場の条件として、特別労災の給付基礎日額1万円以上の加入や、請負契約を締結した発注会社への上乗せ保険への加入指導、内訳が記載された請負契約書の提出などを求める事例も出てきており、社会保険や労働環境の改善に向かっている現場もある。企業によっては一人親方の現場入場を拒否、あるいは原則不可とするなど極端な施策もある。
戸建建築の現場では、大工などでとくに一人親方が多いことから、ネガティブな事例が散見された。大手住宅会社が特別加入団体となり、団体を通じて特別労災に加入している一人親方は、給付基礎日額が低額となってしまう可能性があること、家電量販店発注の据付工事などでは、単価の交渉余地がないことが多いとの意見が挙がっている。また、建売住宅などの現場では、企業としては早朝・夜間・日曜日は施工禁止など、就労時間が制限されているものの、工期が短い場合、一人親方が夜間や休日に作業せざるを得ない状況も起きている。
住宅業界では、一次下請に住宅企業のグループ会社の施工業者や工務店が入り、二次下請以降に大工職の一人親方やその他の職種の一人親方が入ることが多く、工期の短さや現場の規模の観点から問題が多く指摘されている。
これらが頻発する原因は、一人親方は不正ではない(グレーゾーン)という意識が業界内に根強いためであり、一人親方によって事業が成立している企業も少なからずあることが、より改善しにくい状況となっている。
【麓 由哉】
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