2021年12月01日( 水 )
by データ・マックス

突然の社長交代 五洋食品産業に何が起きているのか(8)

 8月27日の株主総会で代表交代が行われた背景について、総会の参加者の証言と、新代表・崎原正吾氏のインタビューを通じて探ってきた。ここからはこれまでの情報に、改めて判明した情報も加味しながら検証してみよう。

五洋食品産業

 舛田圭良氏をトップとする旧・経営陣にとって、ファンド側の修正動議提出が想定外だったことは明らかだ。議長を務める舛田氏が理由の説明を求めたことや、ファンド側が「答える義務はない」「総合的な観点から判断した」と突っぱねたところに、両者の思惑の違いが表れている。

 崎原氏はインタビューで「ファンドもぎりぎりまで悩んでいた」と語っており、複数の選択肢があったことを示唆している。いくつかの選択肢があるなかから、ファンドは「舛田切り」を選んだということだ。舛田氏から見れば、梯子(はしご)を外されるという裏切り行為である。なぜ、ファンドはここまで強硬な手段に出る必要があったのだろうか。

 筆頭株主であるファンドのイノベーション・エンジン食品革新投資事業有限責任組合(以下、IE)は、2015年7月に五洋食品産業へ出資するために組成されたターゲットファンドだ。法人登記を確認すると、意外なことに20年7月1日にすでに解散されている。

 清算人はイノベーション・エンジン(株)だ。もともと組合の存続期間は18年6月30日までとされていたが、期間満了前に存続期間を19年6月30日に変更、さらに20年6月30日に変更されているが、変更はそこまで。つまり期間満了が近づけば1年延長というかたちを続けてきたが、それを20年は実行せず満了させたことで解散となっている。

 投資事業有限責任組合は、解散しても、組成された人的結合関係や財産関係が直ちに消滅するものではない。組合の目的である事業を執行するための積極的な活動を中止して、組合財産を整理し清算する状態に入ることを意味している。この清算が結了することで組合は終了するのであり、解散後も清算が完了するまで組合は存続する。

 期間延長も解散後の未清算も、状態としては同じようなものだが、延長を選ばなかったところにファンドの意思が垣間見える。ファンドはいわゆる「終活」にかかっていたということだ。組合の延長をしなかった時点で、近い将来に株式を売却し、ファンドとしての役割を終える腹積もりだったのだろう。崎原氏もファンドの出口(EXIT)のタイミングがきていたことは認めている。

 舛田氏とIEの決裂は、この出口戦略をめぐるものだった可能性が高い。

(つづく)

【緒方 克美】

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