2024年04月26日( 金 )

対話と意識改革を通じて 1人ひとりが働きやすい職場を

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社会保険労務士法人 徳永事務所
特定社会保険労務士 徳永 明日香 氏

「ディーセントワーク」にも通じる「ジェンダー平等」を実現するために

 「ディーセントワーク」をご存じだろうか。「働きがいのある人間らしい仕事」の意で、1999年のILO総会におけるファン・ソマビア事務局長(当時)の報告のなかで初めて用いられた言葉だ。「この概念は日本ではあまり浸透していなかったのですが、SDGsが制定されて以降次第に注目を集め、理解されやすくなりました」(徳永氏)。

社会保険労務士法人 徳永事務所 特定社会保険労務士 徳永 明日香 氏
社会保険労務士法人 徳永事務所
特定社会保険労務士 徳永 明日香 氏

 ディーセントワークは、(1)雇用の促進、(2)社会的保護の方策の展開および強化、(3)社会対話の促進、(4)労働における基本的原則および権利の尊重、促進および実現という、4つの戦略的目標を達成することで実現されるものと意義づけられている。SDGs項目の1つ、「ジェンダー平等」は、正にこのことに関係すると徳永氏は言う。「ジェンダー平等は法律で認められていることなのですが、実際の処遇としては、まだ平等になっているとは言い難い状況です」。

 2022年4月に一般事業主行動計画の策定・情報公表の義務が「常時雇用の労働者数301人以上」から「101人以上」へと拡大される運びとなり、女性の活躍を推進する社会を構築するための取り組みもさらに進んでいくことが期待される。とはいえ、ある法律が改正されても、実際の職場風土の変革に至るまでには約20年もの長い時間を要することが多いという。1人ひとりの意識改革とその継続的実践が、職場環境を変えていくための礎となることはいうまでもない。

コロナ禍もひとつの契機に 仕事と生活の調和をともに考える

 さらに、近年進められている「働き方改革」は、SDGsが掲げる17のゴールのうちのゴール8「働きがいも経済成長も」に深く関係する経営課題である。「コロナ禍はたしかに大きな障害となっています。2年近く、感染拡大防止策などの対応に追われていますから。一方で改善された点もあります」(徳永氏)。このような状況下にも適応した働き方が模索された結果、テレワークや時間差出勤などといった場所や時間に縛られない働き方が広まったことだ。このことは、アフターコロナにおけるSDGs達成への歩みのなかで大きな意味をもつはずである。

 近年、兼業・副業に対して寛容化の傾向が見られる。「本来、会社での勤務時間以外は自由な時間であり、会社が就業時間外にまで個人を縛ることはできない」(徳永氏)とはいえ、「縛り」が緩くなったことにより就業時間外に働きすぎて、健康被害にあったり本業が疎かになったりしては元も子もない。そこで徳永氏が強調するのが、「ワークライフバランス」という概念である。「これは仕事と生活の調和を表す言葉であり、現在は働き方改革の一部でもありますが、以前から大事にされていた考え方でもあります。特定社会保険労務士として法律を守ることは当然としたうえで、個人が働きやすいと感じられる職場環境を皆さんと一緒に作っていくのが私の理想」と徳永氏は語る。


<INFORMATION>
代 表:德永 明日香
所在地:福岡市早良区有田1-25-11
設 立:2020年6月
TEL:092-843-7956


<プロフィール>
徳永 明日香
(とくなが あすか)
福岡大学大学院法律研究科民刑事法専攻(労働法研究室)博士課程前期修了。2000年、社会保険労務士登録。07年、特定社会保険労務士付記。労働法務・人事労務管理の相談指導、個別労働紛争の防止・解決、就業規則・社内規定作成、労働社会保険手続・調査立会など。また、大学や短大にて労務管理や社会保障の講師も務める。

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