2024年11月04日( 月 )

文化と経済のコラボでビジネスチャンスをつくり上げる

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

(株)わらび座 代表取締役社長 山川 龍巳 氏

(株)わらび座 代表取締役社長 山川 龍巳 氏
(株)わらび座
代表取締役社長 山川 龍巳 氏

 11月2日、民事再生の開始決定を秋田地方裁判所よりいただきました。その日から怒涛の日々を過ごしています。債権者の皆さまに債権放棄の流れをお願いすることになり、本当に心苦しいです。

 前日に全社員を集めて報告しました。決して多くない給与で積み立てた貯金などが債権として扱われることになり、その驚きは言葉では言い表せないほどの受け止めでした。

 劇団経営を支えていたわらび座愛の強い人たちが貸し付けていたお金が、苦しい時にいつも助けてくれました。「これは一般的な金融機関からお借りした債権とは異なり、資産ともいえる」と前任者や経理担当者たちも言っていました。全体が赤字であってもこのお金があればキャッシュフローが回っていたことが、自分たちのなかにあった欠点を覆い隠すことにもなったのではと思います。それらの弱点もろとも、10年目の東日本大震災と2年におよぶコロナ禍が吹き飛ばしてしまいました。

 うれしかったのは秋田をはじめ、全国からの応援の風です。70年の歴史がつくり出した信頼は相当大きいと思いました。怒りの声もありましたが、応援の裏返しがほとんどでした。再生支援に全国のわらび座ファン、秋田県、秋田県経済界をはじめ、fabbitに参加していただきました。中小企業の第2次再生がミッションであり、わらび座もそのテーマでの支援でした。

 わらび座はコンテンツの宝庫です。ローカリズムの舞台創造や演劇教育などをビジネスにする会社へのノウハウ提供、演劇と英語教育のコラボレーションといった、今まで考えもしなかった資産と企業のビジネスを結び付けるなど、コンテンツの価値に気づかせていただいています。さらに気づきや創造性を豊かにする教育は、子どもはもちろんのこと大人でも何より大切なことです。これは演劇分野の得意技なのです。また、60歳以上のシニア劇団を予防医学との接点でビジネスとして応援する企業も出現すると思います。文化と経済のコラボレーションのなかに新しいビジネスチャンスを一緒につくり上げたいと思います。皆さまのご支援を心からお願いします。必ず再生させます。

関連キーワード

関連記事