2022年01月25日( 火 )
by データ・マックス

「悪魔の兵器」の負の遺産と闘い 戦争のないサスティナブルな世界を

(一財)カンボジア地雷撤去キャンペーン
(CMC)

理事長 大谷 賢二 氏

地雷原に暮らす人々に真に必要な支援を

(一財)カンボジア地雷撤去キャンペーン(CMC)
 理事長 大谷 賢二 氏

 カンボジアの地雷被害者の悲惨な姿を目の当たりにし、地雷撤去と被害者救済に特化した活動を決意して今年で25年。私1人で資金を集め、信頼できる地雷撤去団体や義足センターに支援金を送ることから始めた活動でしたが、思いと行動をともにしてくれるたくさんの仲間やボランティアの方々、そして個人や企業の方々からのご支援に支えられ、ここまで続けることができました。

 試行錯誤のなか、貫いてきたのは現場主義です。現地事務所のスタッフとも協力しつつ、地雷原で暮らす人々の実情を正確に把握したうえで、決して独善主義や自己満足に陥らぬよう、あくまで彼らの自立を支援するという立場で行い続けています。すなわち、埋設された地雷の撤去や被害者への義足の提供のほか、地雷原に住む人たちの生活向上に向けて農業支援や教育支援、水タンクの建設などです。令和3年度は外務大臣表彰の栄誉にも与り、私たちの活動に共感してくださった多くの方々に改めて感謝の念を深めています。

いっそう人間らしい生活が送れるように

現地での活動

 地雷原の暮らしは、いつ被害に遭うかわからないという恐怖のうちにあります。そのために、人々は主産業である農業もできず貧困にあえいでいます。その農業にしても、自然任せの方法であるがゆえに収穫高は平均を大きく下回り、そのうえ気候変動による自然災害で農作物が全滅に近い村もありました。CMCは飢饉の村にコメを提供する、日本式の集団農法を教える、水稲に適さない地域に養豚事業を導入する、清潔な水を供給するための巨大貯水槽を設置する(水道はおろか、井戸を掘っても出ない地域もあるのです)などの支援を通じて、彼らの生活基盤を整えることに注力してきました。

地雷原だった場所に建てられた学校

 最も深刻なのは、都市部との格差の拡大です。その解決には教育水準を上げることが要となりますが、義務教育とされている小学校や中学校さえない地域も多く、文字も書けず生産もできない人が多い。地雷撤去だけでも土地の安全利用を実現し、貧困の解消の一助になりますが、教育機会の提供が住民の就業範囲を広め、より人間らしい生活を実現するために必要との観点から、学びたくても学べないでいた子どもたちのため、「CMCボップイ安倍小学校」を皮切りに次々と学校を建設しました。私たちが提供した奨学金にも支えられ、地雷原の子が大学を卒業し一流企業に就職するという昔では考えられないことも実現しています。

 「悪魔の兵器」と呼ばれる地雷は、戦争・紛争の負の遺産として誰かが踏むまで残り続けるものです。あらゆる戦争に反対し、サスティナブルな世界をつくるためにも、CMCの活動を継続させることは必要と思います。現在、SDGsという言葉がはやり言葉のように使われ、それに即した事業をやれば補助金が出るような制度もありますが、私たちはすでに25年前、CMCの出発点から、その課題に取り組んできたのだと改めて思う近ごろです。


<INFORMATION>
代 表:大谷 賢二
所在地:福岡市早良区西新1-7-10
創 立:1998年5月
設 立:2011年4月
TEL:092-833-7676
URL:http://CMC-net.jp


<プロフィール>
大谷 賢二
(おおたに けんじ)
1951年福岡市生まれ。福岡県立福岡高校、九州大学法学部卒。98年5月にNGOカンボジア地雷撤去キャンペーン結成。2011年4月に(一財)カンボジア地雷撤去キャンペーンを設立、理事長に就任。08年にアジア人権基金より「アジア人権賞」を日本人として初受賞、18年にカンボジア首相から感謝状授与、21年に「外務大臣表彰」を受賞。

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