2022年05月26日( 木 )
by データ・マックス

自民・泉田衆院議員が告発した裏金要求問題を追う(前)

泉田氏の会見の様子
泉田氏の会見の様子

    8日の臨時国会代表質問で岸田文雄首相の金権体質放置の姿勢が露わになった。立憲民主党の西村智奈美幹事長(新潟1区)が、自民党の泉田裕彦衆院議員(新潟5区で落選・比例復活)が告発した裏金要求問題を取り上げ、「自民党総裁として事実関係を調査し、国民に明らかにすべき」と問い質した。

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 だが、岸田首相は「沖縄県の事案についてお尋ねがありました」と県名を間違えた挙句、「双方の主張の食い違いが生じている。まずは当事者において説明される必要がある」と他人事のように語って事足りた。西村氏が「その程度か」「自民党総裁として気が回っていない」と呆れながら、真相究明には程遠いと指摘したのは当然のことだった。

 政治とカネの問題に斬り込まない岸田首相のやる気のなさは明らか。すでに報道されている「双方」(裏金要求したとされる星野伊佐夫県議と告発した泉田氏)の食い違う主張を見比べるだけで、河合夫妻の買収事件と同じ違法行為である可能性が大きいことは一目瞭然だ。

 参院広島選挙区を舞台にした河合事件では、地元県議らに渡された現金が政治活動費ではなく、河合案里元参院議員(当時は候補者)を当選させるための買収資金と見なされて有罪となった。公職選挙法は有権者への買収を禁じているためだ。

 同じように衆院選新潟5区から立候補していた泉田氏への裏金要求問題でも、星野氏は「政治活動費」と反論しているが、泉田氏が1日の会見で紹介した面談記録(音声データは3日に提供)では、表には出せない裏金(買収資金)であることがわかる発言が多々あるのだ。

<泉田氏提供の音声データ>
(9月4日午前9時、自民党県連長岡市部長の星野県議の自宅で録音)

【注目発言1(冒頭)】
 星野氏:「それでさ今日の話は誰も知らない」。
 泉田氏:「はい」。
 星野氏:「これはまあ俺も共犯というか」。

【注目発言2(世論調査の説明後)】
 星野氏:「それで泉田さん、勝とうさ、どう思うね」。
 泉田氏:「やっぱり小選挙区で勝つかどうか、全然違いますもんね」。
 星野氏:「もしさ、比例でひっかからなかったら終わりだよ。(中略)とにかく必要経費を早くまこう。もう余裕がない。選挙が始まってからなんてバカはいない。今だ。今でも遅いぐらいだ。ここに2,000万や3,000万をもったいながったら人生終わるよ。そこなんだよ。大部分は領収書がもらえるやつだから。これね、いちいち警察に報告するわけではないのだから。これはね、早くしないと、あとで悔いが残るぞ。1億や2億の話でなくなるから。そんなものではなくなるから。これ1つね、検討というか、早く実行するのだな」。

【注目発言3(世論調査の説明後)】
 星野氏:「それでね、泉田さん、2,000万円、3,000万円の金を惜しんで一生投げてはいけないよ。いけないよ」。
 泉田氏:「だから、あと違法行為にならないようにしないといけないので」。
 星野氏:「そんなものはね、そんなものはね、いいですか、ハッキリいうよ。言 葉の問題だけであって、実際はそんなの気にして報告する者なんか1人もいないからね。それと、A君(録音では実名)はこれを使うの知っているからね。(摩擦音)よろしくお願いします。こうだからね、それはすごい」。

 警察や他人に知られては困る違法行為(買収)であることは「共犯」という言い回しからも明らかだが、この「摩擦音」が音声データに残っている部分については、泉田氏は会見でそのポーズを再現してみせた。

 記者を前に泉田氏が2回繰り返した仕草こそ、買収資金提供を物語る決定的場面のように見えるのだ。

 「(星野氏は)『それと』と来て、大仏さまの格好なのです。こんな感じ(泉田氏が指で丸をつくるポーズ)。そしておもむろに手帳を取り出して(泉田氏も手証を取り出してテーブル上で差し出すポーズをする)『どうぞ、よろしくお願いいたします』と(星野氏が発言)。

 もう一度言いますね、こうやって(指で丸をつくるポーズ)『A君は』。固有名詞いえませんが、『これを使うことは知っているからね』と(星野氏が発言した)。(再び手帳を取り出し差し出すポーズをしながら)『こうだからね、これはすごい』という話をされました」。

 泉田氏の会見と音声データを並べ合わせると、「劣勢の小選挙区で勝利するために表に出せない裏金(買収資金)をA君に渡して票の上乗せをしよう」と星野氏が泉田氏に迫っている光景が目に浮かぶ。

 すでに報道された内容を直視すれば、河合事件と同じ違法行為であることはすぐにわかる。冒頭の岸田首相の答弁は、金権体質放置(隠蔽)宣言に等しく、政治とカネの“闇”に斬り込まない職務怠慢の証ともいえる。

 この決定的な場面(会話)の後も、違法性を裏付ける発言が相次ぐ。

泉田氏配布資料
泉田氏配布資料

(つづく)

【ジャーナリスト/横田 一】

(後)

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