2024年04月26日( 金 )

こども病院跡に医療・教育施設?変貌する「福岡・唐人町」(前)

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ついに動き出した跡地再開発、事業者公募は22年度を予定

こども病院跡地
こども病院跡地

 福岡市は中央区唐人町2丁目の「こども病院跡地」約1.7haの再開発に向けての方針として、医療福祉や教育などの機能を有する施設を設置する方向で検討を進めている。

 現況のこども病院跡地は、市道港福浜線(愛称:よかトピア通り)と市道唐人町草ヶ江線が交差する地点に位置する敷地面積1万6,925.85m2の土地で、現所有者は地方独立行政法人福岡市立病院機構。用途地域は、よかトピア通りから50mは第二種住居地域で、それ以外は第一種住居地域となっている。

 同跡地の再開発に向けては、市が2021年3月から5月にかけて、民間事業者からの意見や提案を求めるサウンディング調査を実施。主に民間事業者から、①事業計画、②導入機能、③空間づくりに関する意見や提案のヒアリングを行った。同調査に参加したゼネコンやデベロッパー15社からは、医療施設や小規模商業施設などの生活密着型施設を核とした複合施設などの提案があったほか、学校や専門学校などの教育施設、託児や病児保育などの提案もあった。市ではこれらの意見を参考として、跡地活用方針の素案を作成。方針としては08年12月策定の「新病院基本構想」に基づき跡地全体の売却を行ったうえで、再開発に向けては医療・福祉や教育といった市民生活の質を高めて行く機能を盛り込むほか、地域の防災力強化や脱炭素社会の実現に向けての機能の導入も検討される。実際の跡地活用方針は22年3月末までに策定し、再開発事業者の公募は22年度に開始される見込みだ。

 14年11月1日をもってアイランドシティ(東区)に移転・開業したことで、唐人町での役割を終えた「福岡市立こども病院」の跡地だが、その後はこれまでとくに目立った動きはなく、長らく放置されてきた。それがいよいよ沈黙を破り、再開発に向けて動き出したかたちだ。

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MARK-IS-福岡ももち
MARK IS 福岡ももち

    これまで唐人町といえば、「福岡PayPayドーム(福岡ドーム)」や「MARK IS 福岡ももち」の最寄り駅である福岡市地下鉄・唐人町駅があることで、市内外から訪れる人の多くにとっては、ドームなどに足を運ぶ際の経由地という程度の認識しかなかった。あるいは、こども病院があったころであれば、子どもの急病時の“駆け込み寺”的な場所としての認識の人もいるかもしれない。

 その唐人町が今後、こども病院跡地の再開発の進行とともに、どのようなエリアへと変貌を遂げていくのか、あるいは変わらないのか――。まずは唐人町エリアの歴史と概要からたどってみたい。

【坂田 憲治】

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