2024年05月02日( 木 )

高い技術と厚い信頼で業績堅調 今後は海外進出も視野

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朝倉コンサルタント(株)
代表取締役社長 倉掛 和俊 氏

「見えないところも仕事」にプライド

朝倉コンサルタント(株) 代表取締役社長 倉掛 和俊 氏
朝倉コンサルタント(株)
代表取締役社長 倉掛 和俊 氏

    2021年秋、福岡市の地下鉄七隈線を走る車両内に、ある企業広告が掲載された。惹句(コピー)は“見えないところも仕事です”。続く言葉には、同社代表である倉掛和俊氏が長年抱いてきた想いを込めた「目指すのは自然環境を考慮し、地域特性にこだわった、まちづくりの設計です。朝倉コンサルタント(株)は、〈見えないところに気を遣う〉ことができる新入社員をお待ちしています」。

 設立26年目にして初めて取り組んだ、人材募集の大型広告。あまり表に出ることのない建設コンサルタント業に対するプライドとともに、自身の経験を伝えたうえで責任をもって後進を育てるという決意も込めた。

 「この仕事は人が生命線。地下鉄での広告費は決して安くはないが、事業を継続してくうえで良い人材を採ることが最重要課題だと判断して決断しました」(倉掛氏)。

太陽光発電からバイオマス発電へ

 朝倉コンサルタントグループは、建設コンサルタントを担当する朝倉コンサルタントを中核に、土木建設会社の日本プロダクト(株)、太陽光発電事業を主事業とするマーシャルアセット(有)などの5社で構成される。太陽光発電事業に取り組み始めたのは14年ごろ。当初は工事や開発業務だけを担当していたものの、独自に土地を仕入れて経産省や電力会社への申請も行うようになり、今年11月、長崎県平戸市に1.7MWの自社発電所を完成させた。同社ではさらに固定価格買取制度(FIT)の終了後を見据えて、小型水力発電、小型風力発電、バイオマス発電事業への参画を計画する。

長崎県平戸の太陽光事業
長崎県平戸の太陽光事業

 太陽光発電について同社が強みとしてきたのは、「コンサルタント」としての顔でもあった。広大な用地を必要とする同事業は土地開発の側面があるため、地元住民や地権者との交渉が避けて通れない。行政対応にしても独特の流儀が必要で、同社が積み上げてきた経験とノウハウはこうした折衝の場で最も発揮されてきた。実際、暗礁に乗り上げた案件やリニューアル案件など、同社が関わることで再び動き出したプロジェクトは多いという。工事会社の強みをいかして維持管理も請けることができるため、FIT終了後も太陽光事業を収益化することが可能だ。

 倉掛代表は主要事業を軌道に乗せたことで、次の事業展開を模索している。土地の有効活用として視野に入れるのが、次世代畜産種として注目を集めるエミューの牧場や、高級キャンプ場として需要の高まるグランピング施設など。社会をあっと驚かせるアイデアを考えることが至福の時間だ。今後は国内の人口減を見越して海外展開が不可欠だと考えており、同社に在籍していた外国人の協力で現地法人設立も視野に入れる。

 「国の再生可能エネルギー政策は拡大すると言って抑制するばかりです。一層の社会貢献を目指して新しいプロジェクトに挑戦していきます」(倉掛氏)。


<INFORMATION>
代 表:倉掛 和俊
所在地:福岡市南区大楠1-4-22
設 立:1995年7月
資本金:3,800万円
TEL:092-406-8910
URL:http://www.asacon.co.jp


<プロフィール>
倉掛 和俊
(くらかけ・かずとし)
1961年生まれ。福岡県朝倉郡出身。福岡市立博多工業高校を経て福岡大学商学部を卒業。卒業後、西部ガス関連企業に入社、29歳で退職し、設計事務所に入社。その後、個人事務所設立などを経て朝倉コンサルタントを設立。関連企業に日本プロダクト(株)など。

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