“設計思考”で構想する唐人町の未来図、焼き芋できる「立体キャンプ場」案(後)
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都会で食べたい!「高級品」焼き芋
さて、近年注目のコレクティブなコミュニティ空間として、「パーク」づくりの手法を習ってみたい。今後予定されている施設としては2023年完成予定の「HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE」が有名どころだ。スポーツを真ん中に置いて、住空間・商空間・働く場所を増殖させるコンセプトで、“野球場から「ボールパーク」へ”の転換を図っている。
今回提案する空間デザインの動機は、「都会で焼き芋をつくって食べたい!」という筆者の希望がきっかけだ。福岡市中央区内に住んでいるのだが、近隣には焼き芋を囲める場所がなく、都市公園では基本的には火気使用は禁止されている。郊外へ行くとちらほら出てくるが、今のところ西区の小戸公園くらいしか思いつかない(ほかにもあるのならば誰か教えてほしい)。
昨今のキャンプブームもあって、筆者も数年前から家族でキャンプへ行くことが増えた。といっても、タープを張って焚き火台で火を起こし、おいしいお肉や野菜を焼いて食べるというデイキャンプが主体だ。九州のあちこちのキャンプ場を予約しては、その一連の楽しみ方で小旅行をしている。我が家では“食べるキャンプ=食べキャン”と呼んでいて、シーズンごとに献立を変え、BBQはもとより夏は流しそうめん、冬は水炊き、天ぷらやアヒージョなんかも平気でやる。とにかく、おいしいものをおいしい景色と一緒に食べるという趣旨だ。
今年の秋に採れたさつまいもは、アルミホイルに包んで焚き火台へ投げ入れ、食後のデザートとしていただいた。遠赤外線の適度な熱を浴びてトロトロにほぐれたアツアツの焼き芋は、香ばしくて甘い極上のスイーツへと化けた。マンションに暮らす現代の日本人には、郊外へ行って焼き芋を嗜む場所も与えられていない。そのときは糸島市の農園の一角を間借りして行ったが、庶民的なおやつであるはずの焼き芋は、今では食べる機会も減って貴重な高級品にさえ見立てられる。この動機、お金を払ってでもいい、至極真っ当な欲求ではないだろうか。
<プロフィール>
松岡 秀樹(まつおか・ひでき)
インテリアデザイナー/ディレクター
1978年、山口県生まれ。大学の建築学科を卒業後、店舗設計・商品開発・ブランディングを通して商業デザインを学ぶ。大手内装設計施工会社で全国の商業施設の店舗デザインを手がけ、現在は住空間デザインを中心に福岡市で活動中。メインテーマは「教育」「デザイン」「ビジネス」。21年12月には丹青社が主催する「次世代アイデアコンテスト2021」で最優秀賞を受賞した。月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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