「エミューによる地方創生」佐賀県基山町の挑戦

産官学連携の商品開発、女性ターゲットの「笑便」

　こういった課題を解決するため、基山町とエミューの加工・販売を手がけるきやまファーム、西九州大学健康栄養学部による「産学官連携による商品プロジェクト」が進められている。

　同プロジェクトでは、西九州大学健康栄養学部によるエミュー肉を使った商品開発やレシピ集の作成を行っている。

　現地見学、開発会議、商品試作の末、完成したのが「笑便（えみゅーびん）」だ。「笑便」のパッケージは封筒になっており、「コロナ禍のなか、なかなか会えない人に手紙とともにソースも送れたら」との想いが込められているという。

　西九州大学健康栄養学部の安田みどり教授は、「笑便はエミュー肉をトマトで煮込んだ『万能ソース』といえるもので、パスタのほか、グラタンやコロッケにも相性抜群です」とし、開発にあたっては「エミュー肉らしさを残しつつも、いかに皆が食べやすいようにするかのバランスに気を付けました」と語る。

    同商品のターゲットは女性。開発に携わった学生の1人は「なぜ女性をターゲットにしたかというと、エミューの肉は牛・豚・鶏に比べて鉄分が豊富なため、鉄分不足に効果があることがわかっているからです。女性は貧血の方が多く、貧血と診断された女性の割合は21％、診断されていない『かくれ貧血』の割合は65％に上るとも言われています。私たちも実生活で『鉄分』という文字の入った商品を見ると、ついつい手に取ってしまいがちです」と語る。

　21年12月12日に基山町役場で開催された「2021ふ・れ・あ・いフェスタ」では、「笑便」の試食・販売会が行われた。試食した来場者からの反応は、「思っていたよりくせがなく、とてもおいしい」と好評だったという。

【新貝　竜也】

Onlineshop

エミュー関連商品は、「きやまファームオンラインショップ」などで購入可能。