2022年05月28日( 土 )
by データ・マックス

フェイクニュースの次はフェイクフーズ? 世界を駆けめぐる仰天ニュース(後)

国際未来科学研究所
代表 浜田 和幸

 インターネットの普及とともに、世界中を駆けめぐるようになった「フェイクニュース」。最近では、新型コロナウイルスのワクチン接種に関するフェイクニュースが話題に。情報の真偽を見極めることが困難な時代に突入してきました。

代替肉の普及とGMO野菜の登場

大豆ミート イメージ    フェイクニュースの拡散とともに、普及が加速しているのが「フェイクフーズ」です。見た目も味わいも本物の牛肉や豚肉と似ていて、大豆などを原料にしたフェイクフーズ(代替肉)が市場に広く出回っています。 

 アメリカではマクドナルドやケンタッキー・フライド・チキン(KFC)まで、そうした穀物や植物を加工した肉のようなフェイクフーズを提供するようになってきました。スーパーマーケットでも「ビヨンド・ミート」や「インポッシブル・フーズ」というブランド名で売られており、人気を博しています。 

 こうしたフェイクフーズを後押ししているビル・ゲイツ氏に言わせれば、「人間が食する牛だけで、体外に排出するメタンガスは温室効果ガスの4%を占めている。地球温暖化を予防するうえでも、飼育する牛や豚の数を減らすことは欠かせない。人工肉が普及すれば、牛や豚の数を減らすことができ、環境にとってもプラスになる」とのこと。 

 実は、このような人工肉を製造する技術を応用して、レタスやホウレンソウなどサラダの材料の野菜にコロナウイルス用のワクチンを注入したGMO野菜がすでに出始めているのです。ファイザーやモデルナのワクチンに使われているメッセンジャーRNA溶液を野菜に移植することで、日常的に感染対策が可能になると言います。「誰もが知らない間にサラダを食べることで感染予防のワクチン接種と同じ効果を期待できるようになる」との触れ込みです。 

 カリフォルニア大学リバーサイド校の植物学部のジラルド教授は、「レタス1本で人間1人に必要なワクチンを生み出せる。レタスの葉にメッセンジャーRNA細胞が含まれているため、これを食べればワクチンを接種したのと同じ効果が期待できる」と話しています。レタスやホウレンソウに限らず、さまざまな家庭菜園の野菜にも適用できるとのこと。ジラルド教授によれば、いくつかのほかの大学や研究機関とも共同作業を進めているため、その成果は大規模な生産農家にも恩恵をもたらすことになるといいます。 

 こうした動きを加速させるため、全米科学財団が50万ドルの開発予算を計上したとのニュースも流れてきました。しかも、そうしたフェイクフーズに最大の研究費を提供しているのがビル・ゲイツ氏の財団だという話もあります。そういえば、ビル・ゲイツ氏は個人としてアメリカで最大の農地所有者になっています。自らの農地で「食べるワクチン野菜」を大規模に生産することを狙っているのかもしれません。

フェイクフーズをめぐる攻防

 日本でも世界でも健康食ブームが巻き起こっています。日本のスーパーマーケットでも「代替肉」が幅を広げています。多少値が張りますが、環境にも健康にもプラスとの宣伝が効果を発揮し、売上も順調に伸びてきました。 

 ところが、本場アメリカで異変が起き始めています。2021年第3四半期の売上データから判断すると、消費者の「フェイクミート離れ」が確認されています。「ビヨンド・ミート」の株価も急落。一時は「次世代フーズの代表格」と期待が高まっていたのですが、一体どうしたのでしょうか。 

 実は、医療専門家や栄養士が行った調査で、こうした代替肉から大量のナトリウムなどが検出されたのです。「ビヨンド・バーガー」なども宣伝文句とは大違いで、野菜などは含まれていなかったといいます。健康面で問題があることが判明したのです。 

 これまでビル・ゲイツ氏が中心となり、「先進国では100%代替肉に移行すべき」とのキャンペーンが展開されてきました。ニューヨークでもシンガポールでも、こうしたフェイクフーズの専門レストランが続々と誕生しました。しかし、ウォール・ストリートの投資家の間では、フェイクフーズ関連の第4四半期の売上予測は当初1億3,160万ドルでしたが、今や8,500万ドルに下方修正されています。一世を風靡すると期待されたフェイクフーズですが、一過性の現象で終わりかねません。 

 とはいえ、世論の誘導に関しては誰にも引けを取らないビル・ゲイツ氏です。黙ってフェイクフーズの凋落を見ていることはないはず。しっかりと反撃を試みています。その狼煙はKFCから上がりました。この1月10日からアメリカ各地の店舗で、「ビヨンド・ミート」が提供する植物由来のチキンがメニューに登場したのです。これまで両社は試験的に一部の店舗でフェイクチキンを提供してきましたが、新年を機に全国展開に踏み切りました。「多くの消費者が新年の決意として健康的な食生活へ切り替えようとするので、このチャンスを逃さない手はない」とのこと。環境問題に加え、健康への関心が高まっていることも追い風にしようとの考えです。KFCに限らず、ピザハット、タコベル、そしてマクドナルドでも同様の動きが出てきました。

 真実を見分けることが難しい時代になってきたことは間違いないでしょう。これからは、ニュースもフーズもしっかり噛んで理解する努力が欠かせません。

(了)

浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
 国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。最新刊は19年10月に出版された『未来の大国:2030年、世界地図が塗り替わる』(祥伝社新書)。2100年までの未来年表も組み込まれており、大きな話題となっている。最新刊は『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』(祥伝社新書)。

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