【ただの風邪?】記者も感染~オミクロン株で2度の陰性判定から緊急入院(前)
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記者は1月16日、新型コロナウイルスに感染したことによる発熱で緊急入院し、約1週間の病院隔離を経て自宅療養に移った。感染したのは、いわゆる「オミクロン株」と呼ばれる変異株で、感染力が強い一方で症状自体は軽いとされる。「オミクロンはたんなる風邪」といったことを公言する医療専門家もおり、このことがオミクロン株への警戒心を弱めているようにもみえるが、本当に“軽い病気”なのかどうか、発熱のピークを越した現在も判断はつかないままだ。今でも痛む喉と止まらない咳症状は後遺症のようなもので、医師によるとしばらく続くという。
40度近い高熱で救急搬送~2回の陰性通知を経て
正直に告白するが、私自身に「(オミクロン株は)単なる風邪ではないか」といった油断があったことは否めず、口にはしなかったものの、大多数の人間が感染することで社会全体として免疫をもつことができるのでは――という素人(しろうと)丸出しの希望的観測すらもっていた。
感染している可能性があると連絡が入ったのは、1月14日(金)の午前中だった。もっとも当初は症状がまったくなかったことから楽観視しており、その日の午後に唾液を用いたPCR検査を受けると、とりあえずしばらくは外出を控えようと思い、宅飲み用にアルコールやつまみ類を買いそろえていそいそと帰宅。夜にSNS経由で「陰性」通知を受け、想定内の結果で一安心した。この時点では事態を完全に「舐めて」いた。
何かおかしい、と思い始めたのは深夜だった。強い喉の痛みと発熱で目が覚め、ほとんど寝られないまま朝を迎えた。38度台の熱が続き、下がる気配がない。15日(土)の午後には発熱が39度台に達し、以後は高熱と咳、強い喉の痛みが止むことなく続くようになった。陰性が出ているのになぜ?と何度も訝しんだものの、症状が噂に聞くオミクロン株とほぼ重なるため、もう一度検査を受けることを決めた。しかし正直に症状を話したことが災いしてか、タクシー会社には軒並み乗車を断られ、比較的距離が近いこともあって福岡市急患センターまで徒歩で行くことにした。高熱からくる関節の痛みでロボットのような歩き方になり、普段は15分程度の場所まで30分以上かけてたどり着くと、おそらく同じような症状を抱えているのであろう患者の列がセンターの外に並んでいた。抗原検査を経てからでないとセンター内には一歩も入れないのだという。
その抗原検査自体も、医療従事者の感染リスクを減らすために自分で行う必要があり、鼻の奥に柔らかい綿棒をこすりつけて粘膜表皮を採取する「鼻腔ぬぐい」式検査をして結果を待つ。結果は20分ほどで出て、驚くことにまたしても「陰性」と出た。検査後に診察にあたった医師は明らかに首をかしげながら、「陰性である以上、風邪としか診断できないですね……」というはっきりしない言い方に終始。総合感冒薬、いわゆる風邪薬と下痢止めを処方してもらい、とぼとぼと帰路につく。しかし帰宅後も高熱はまったく収まる気配がなく、15日夜からついに熱は40度付近から下回ることがなくなり、寒さから体の震えがとまらず、強い喉の痛みと咳の連続で声も出なくなった。翌16日の夕方にはついに動けなくなったため、福岡市の救急ダイヤルで判断をあおいだうえで、救急車を呼ぶことを決めた。2日間のうちに何度も救急車を呼ぶことを考えたものの、陰性だったことがあって躊躇していたが、もはや限界だった。
声が出ないため、とぎれとぎれの単語で容体を伝えるとすぐに駆けつけてくれ、完全防護服の救急隊員が気を遣いながらも接触は最小限に保ちながら救急車のなかに招き入れてくれた。こちらは一歩ずつ足を出すのがやっとで、本来なら隊員が手や肩なりを貸すところなのだろうが、おそらくは指導された通りに一定の距離をとり、見守るだけに徹していた。隊員の身を守るために、しかたのないことなのだ。車内で横になり血液内の酸素量などを計測しながら搬送先を探していたが、少なくとも4つの病院に受け入れ拒否され、最終的に急患センターに搬送されることになった。昨日と同じセンターだ。しかも昨日と同様に抗原検査の反応がわかるまでなかには入れないという。
今回も自分で抗原検査を行ったが、連日の検査に多少頭にきていた私は意を決して綿棒を昨日よりもより深い場所まで突っ込み、痛みをこらえながら粘膜を削ぎ取った。結果は「陽性」。ここまで来ると陽性反応が出てほっとした。少なくとも高熱の原因はわかったのだ。プレハブ小屋に設置された特別受診室で問診をすませると、「肺炎の可能性もあるので、このまま入院させる」旨を告げられた。特別待合室で待機させられて30分ほどすると、ドライバーと後部座席が完全に仕切られた移送車に移され、別の区にある大学病院に搬送された。
(つづく)
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