2024年04月26日( 金 )

相次ぐ暴落、大荒れの仮想通貨市場(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

ロシア、仮想通貨とマイニングの使用禁止を提案

マイニング イメージ    株式市場と仮想通貨市場が連動するようになった理由は、ビットコインの上場投資信託(ETF)の登場と機関投資家の存在を通じて、仮想通貨市場と株式市場との関係が、より密となっているからだ。

 第二に、ロシアにおいて、中央銀行が仮想通貨のマイニングと発行、取引を全面禁止する提案をしたことも挙げられる。

 2021年8月の時点で、ロシアは世界のハッシュレートの11.2%を占めており、米国、カザフスタンに次ぐ世界3位の仮想通貨マイニング国家である。これは中国がマイニングを禁止したため、マイニング施設がお隣のロシアに移されたことが影響している。

 しかし、ロシアの中央銀行が20日にリポートをまとめ、仮想通貨の発行および運営の全面禁止を提案した。仮想通貨が広まり、金融政策決定者が通貨の管理権限を維持できるのかどうかについての懸念があるようだ。昨年、ロシアで取引された仮想通貨の市場規模は約50億ドルに達したが、ロシア政府は仮想通貨の法的地位については認めているものの、支払手段としては認めていない。

 第三に、米国の証券取引委員会(SEC)が、現物ETFの承認を棄却したというニュースが流れ、これも仮想通貨市場暴落の一因になったという分析がある。

今後の展開は

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身近な存在になりつつある仮想通貨(前)

 米国の金利上昇が本格化すれば、米国のIT先端銘柄を中心に株価が下落し、世界の金融市場全体でリスクを回避する傾向が加速していくだろう。その結果、新興国の金融市場から資金が流出し、世界経済の先行き懸念の高まりが予想され、仮想通貨市場にも逆風が吹く可能性が高い。

 仮想通貨への不安材料としては、政府による規制も挙げられる。中国政府が仮想通貨へのマイニング、発行を禁止したほか、米国も同様の規制を準備中だ。もちろん規制が悪いわけではない。規制によって投資家の保護が進み、仮想通貨市場の発展へとつながる側面があることは否めない。しかし、規制によって業界の発展が阻害される可能性も排除できない。

 中国では、VPNを使用した海外の仮想通貨取引所での仮想通貨取引や、OTC取引などが依然として行われているようだ。しかし、現在多くのビットコインを保有しているのは中国人なので、北京オリンピックの開催とともに、さらに厳しい措置が取られれば、最悪のケースとしてビットコインが一斉に売りに出され、ビットコイン価格のさらなる暴落もあり得る。一方で「ビットコインは10万ドルまで上昇する」と主張する強気な意見もある。

 暴落が続くのか、それとも値を戻すことになるのか、今後も動向を注視していく必要があるだろう。

(了)

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