2022年06月29日( 水 )
by データ・マックス

【IR福岡・特別連載72】特報/投資開発企業が判明~米「BALLY’S」

BALLY’S    IR(統合型リゾート)福岡の米国IR投資開発企業が明らかになった。米国ラスベガス創業のBALLY’S CORPORATION(以下、BALLY’S)が1月末、通常のRFP(提案依頼書)に相当する正式な提案書など基本計画書一式と合わせて、正式な「Letter of Intent(意向表明書)」を福岡の各関係機関に提出した。

BALLY’S

米国企業が行動に移す

 提出先は福岡市長、福岡市議会議長、九州経済連合会会長、九州IR推進協議会会長、同名誉会長および在福岡米国領事館首席領事という。関係者の情報によると、誘致開発による各種経済効果は次の通り。

・総事業費 :4,800億円
・年間売上高:2,495億円(以下は2028年度(開業初年度)の予想)
・税引前利益:571億円
・福岡市税収:346億円
・年間来場者:464万人(構成は60%が1時間以内のエリアに住む住民、海外ビジターは5%以下)
・経済効果 :1 兆1,637億円(建設期間中)、5,973億円(稼働後)
・雇用創出 :5万人(建設期間中、延べ)、3万4,000人(稼働後)
・従業員年収:500万円以上(直接)、400万円以上(間接)

 1日平均来場者約1万3,000人のうち7,000人が鉄道を利用すると想定される。鉄道事業者の運賃収入増収(年間)の見込みは以下の通り。
・J R九州:18億円増収(同社の鉄道事業の収益の2.3%)
・西日本鉄道:5.8億円増収(同1%)
・福岡市営地下鉄:6.6億円増収(同2.9%)

福岡市近郊路線図(福岡賃貸情報専門サイト「ドリームステージ」より引用)
福岡市近郊路線図(福岡賃貸情報専門サイト「ドリームステージ」より引用)

豊富な資金力を誇るBALLY’S

 BALLY’Sは全米に14施設を所有・運営し、バーチャル空間ではスポーツからカジノまでを幅広く活用している(米国では州ごとに合法か非合法か異なる)。同社は昨年10月に英国のインターネットゲーム企業Gamesysを20億英ポント(約3,100億円、IR長崎の総事業費の約9割に相当)で買収したことにみられるように豊富な資金力を誇る。同社のバックグラウンドは、全米第1位の銀行「バンク・オブ・アメリカ(投資銀行メリルリンチを傘下に置く)」と第3位の「ウェルズ・ファーゴ」である。加えて、スポーツ・ベッティングやプロバイダーなどIT関連のインターネットゲーム企業を次々に買収している。

 今の多くの若者は、パチンコよりもスマホのインターネットゲーム(カジノ、マージャン、スポーツ・ベッティングなど)で、仮想通貨を利用して賭けようという傾向がみられる。ギャンブル反対派の市民のなかには、「宝くじ」はギャンブルではなく娯楽にすぎないないという考えをもつ人もいるかもしれないが、こうしたギャンブル/ゲーム(娯楽)という垣根は消失しているといえる。筆者は以前から、「箱(施設)ができることがギャンブル依存症を広める」という考え方をめぐり、カジノ誘致に反対するマスコミや市民に対して現在の世の中の流れを理解すべきと指摘してきた。日本は何もかも遅れているのだ。

 BALLY’Sの若き経営陣も優れている。会長のSoo Kim氏(韓国系アメリカ人)は多くの記事で取り上げられているほか、Kim氏以外の経営陣には「投資のプロ」「インターネットゲームのプロ」が集結している。地元経済界は、日本の国際競争力を高め、経済発展を促進するためにも、今はこういう時代であることへの認識を深めてほしい。

IR誘致で福岡の飛躍を

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 BALLY’Sという最先端のIR投資開発企業が、世界的な金融機関のバックアップを得て福岡に進出するのであれば、躊躇する必要があるだろうか。「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」「ウォーターフロントネクスト」に加え、国際金融機能誘致「TEAM FUKUOKA」「国家戦略特区」などにより、オフィス面積とテナント数は増えるが、行政が目的とする「インバウンドの増加」の実現には不十分に思える。

 年間数千億円の売上を誇るIRの関連企業が進出し、IRという従来福岡にはなかったリゾート施設が開発され、税収が増加することにより、福岡市が描く戦略の成功はより確実なものとなるだろう。国際金融機能誘致の実現可能性も高まるはずだ。これらは「税制改革を行う国際金融都市」と「税収効果の大きなIR」がセットでなければならないからだ。IRの経済効果と雇用創出効果を考えれば、コロナ後の経済再生と予想される税収不足を補うという点からも、これ以上効果的なものはないと断言できる。

 海外企業には「もう東京には興味なく、今はアジアに近い福岡だ」と言っている企業もある。このようなチャンスは何度も続いてあるものではない。先進国に遅れを取ること約30年、今回のコロナ禍は良い勉強になったのではないか。組織人には“自己保全に走らず、肝を据えて頑張れ”と言いたい。今こそ「アニマルスピリッツ」をもつべきだ。

【青木 義彦】

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