2022年06月28日( 火 )
by データ・マックス

トクホ「疾病リスク低減表示」の拡充案に“NO”

 内閣府の消費者委員会・新開発食品調査部会が1日開催され、消費者庁から特定保健用食品(トクホ)制度の改正案が示された。「再許可等トクホ」と「規格基準型トクホ」の改正案については反対意見が出なかったものの、「疾病リスク低減表示」の拡充案に対し、多数の委員が“NO”を突き付けた。

「むし歯リスク低減」のマーカーに疑問符

消費者庁 イメージ    疾病リスク低減表示のトクホは、骨粗鬆症などの疾病に対する効果を表示できる。疾病名の表示は、ほかのトクホでは認められていない。

 この日の会合で消費者庁は、疾病リスク低減表示に「むし歯のリスクを減らす可能性があります」という表示を追加し、申請の考え方(基準)を通知で示すと説明した。

 案によると、「むし歯のリスク低減」の効果を証明するために、サロゲート(代用)マーカーである「プラークpH、脱灰・再石灰化」を評価指標に位置づける。また、現行の「〇〇〇(疾病名)のリスクを低減するかもしれません」という表現方法を「―可能性があります」に見直す考えだ。

 関係者の話によると、案に対して複数の委員が、「プラークpH、脱灰・再石灰化」は疾病リスク低減を評価する直接的なマーカーではなく、適切かどうか疑問と指摘。「―可能性があります」の表現方法についても、科学的に整理されたものかどうか疑問視する声が寄せられたという。

 消費者庁の案に難色を示す委員が相次ぎ、同意が得られなかったため、仕切り直す方向となった。

規格基準型トクホ、複数の機能性の表示が可能に

 規格基準型トクホは、許可件数が豊富にある「関与成分と機能性の組み合わせ」の場合、国の審査を経ずに許可されるという仕組み。代表的なものに、「関与成分:難消化性デキストリン、機能性:お腹の調子を整える」などがある。

 現行制度では、1成分につき1つの機能性しか表示できない。これを改正によって、複数の機能性を同時に表示できるようにする考えだ。

 改正案の対象成分は、現時点で難消化性デキストリンのみ。現在、この成分を配合したトクホ商品の機能性として、「お通じが気になる方に」「食後の血糖値が気になる方に」「食後の中性脂肪が気になる方に」の3種類がある。改正後は、このうちの2つ、または3つすべてを同時に表示できるようにする。

再許可等トクホの対象範囲を拡大

 再許可等トクホは、既存品のフレーバーなどを変更する場合に限り、審査手続きを省略できるという仕組み。改正案では、その対象範囲を拡大する方向性が示された。

 消費者庁の通知は、再許可等トクホの対象範囲を「商品名」や「風味」の変更などに限定。一方、消費者委員会(部会長決定)ではもう少し広い範囲を対象とする考え方を示し、消費者庁との間でズレが生じていた。このため、消費者委員会の考え方に歩み寄るかたちで、対象範囲を広げる方針だ。

商品検査は3年に1度に緩和

 改正案には、販売者に義務づけている商品検査の緩和策も盛り込まれた。

 2016年に、一部のトクホ商品で関与成分の含有量が表示値を下回っていることが発覚。この問題を機に、消費者庁は販売者に対し、年に1度は登録試験機関などで商品検査を行い、検査の成績書を消費者へ提出させることを決定した。

 しかし、その後は問題のある商品が見られないこともあり、今回の改正で、商品検査の実施頻度を3年に1度に減らすという。検査を行わない年は、自社で行う検査の成績書の提出も認める。

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 再許可等トクホや規格基準型トクホなどの改正案については、各委員から反対意見が出ず、同意が得られたようだ。取材に対し、消費者庁では「了解を得られた内容については、パブリックコメントなどの手続きを経て通知する方向」(食品表示企画課保健表示室)と話している。

【木村 祐作】

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