JT九州工場閉鎖で筑紫野どう変わる?(後)
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一方で、懸念材料もある。「自動車アクセスが良い物件」という条件だ。たしかに物理的にアクセスしやすい環境にあるが、実際の交通量を加味すると事情は変わってくる。九州工場跡地は九州道の筑紫野ICから近く、国道3号や県道112号(旧・国道3号)、県道31号、県道17号など主要道路として使われている道路が多い。しかし、それが災いしてか、通勤・帰宅ラッシュ時や九州工場跡地のすぐ南方にある大型ショッピングモール「イオンモール筑紫野店」への移動で、非常に渋滞がしやすい場所として知られている。近郊に住宅地が密集していることも要因の1つだ。前出道路における交通混雑は以前より懸念されており、道路拡張などが検討されているが、具体的な動きはまだ見られない。また、近隣に大型の商業施設があること、既設の久山倉庫店まで近い(直線距離で約18.7km)ことも進出へのネックとなるだろう。
工業・物流施設のネックはやはり渋滞?
市民からの声で一際目立ったのが、雇用と税収の問題だ。筑紫野市の顔ともいえる九州工場は直接雇用するだけでなく、そのほかの企業の業績にも大きな影響を与えていた。「これだけの大きな敷地があるなら、別の企業がそのまま工場として活用してくれるのではないか」という声もあった。
21年11月に発表された世界的な半導体メーカー・台湾積体電路製造(TSMC)とソニーグループが共同で、熊本県菊陽町に半導体工場を建設していることも要因となっているようだ。住宅地に囲まれている工場跡地では、騒音や臭いなど近隣への公害などが懸念され、反対される可能性もある。しかし、半導体の製造においては比較的公害の心配がなく、宮崎県延岡市にある旭化成マイクロシステム(株)のように、住宅地が近接している場合もある。
物流施設への期待が寄せられているのは、やはりメープルツリー進出のインパクトが大きい。九州最大級の物流施設ということもあり、雇用と税収とともに市民から期待されている施設だ。ちなみに、メープルツリーの建設予定地は、筑紫野ICから住宅地をほとんど通らない山手に位置しており、市民が利用する主要道路を通らないため、市民からの支持も得ているようだ。
【麓 由哉】
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