JT九州工場閉鎖で筑紫野どう変わる?(後)
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グラウンドや総合体育館の希望
「筑紫野市には大きなグラウンドや市民プール、総合体育館などが少ない」という声もあった。市が17年3月に発表した「筑紫野市公共施設等総合管理計画」では、保有する公共施設等について「施設数を現状維持したまま予防保全型管理の導入によるコスト縮減効果を予測した結果、コスト縮減効果は期待できるものの過去の投資的経費と比較すると、まだ財源不足である」としながらも、類似団体や周辺自治体の平均値より少なく、積極的に総量を縮減することは困難であるとしている。
また管理計画では、市民に行われたスポーツやレクリエーションが行える屋外・屋内施設についてのアンケート結果が発表されており、約32%が「少ない(とても少ないを含む)」、約28%が「適当である」、約30%が「わからない」という結果となっている。
市内に市民プールはなく、夏休み期間は各小学校のプールを開放している状態だ。人口は増加傾向にあり、要望は今後高まってくる可能性もある。また、立地としても、住宅地に面していることや周辺に文化会館や市民図書館、歴史博物館などの公共施設が密集していることから、好条件といえる。
ちなみに土地売買で一定の条件を満たす場合、売り手は「公有地の拡大の推進に関する法律」(以下、公拡法)に基づき契約前に市に届け出を出す必要がある。公拡法とは、地方公共団体が行う道路建設などの公共事業用地を、事業実施に先立ち買い取ることができる制度。そのため、仮にJTがほかの民間企業に土地を売却しようとした場合、市や県が申し出により買い取ることも可能になる。工場跡地は敷地面積が公拡法の対象となっているため、公共施設設置のために市が買い取ることができるということだ。
市は、「仮に届け出が出された際は、公的なルールに則ったかたちで検討する。届け出がない以上は検討もない」としている。市民の生活環境を優先すれば、前述の公共施設の立地条件としては良いだろう。しかし、これには税収と雇用、そして市の財源の問題がある。また、かねてより進めている区画整理や、以前より停滞していたが着工の兆しが見えたJR二日市駅西口の乗降口建築工事もある。土地の取得には、十分な議論が必要となってくるだろう。
変わりゆく筑紫野市
今回、JT九州工場閉鎖にともなう跡地の活用方法について考察を行った。JR鹿児島本線沿線の広大な敷地が、長期間にわたって遊休地となることは考え難い。住宅地として整備し、ベッドタウンの規模をさらに拡大するのか、それとも企業が取得して新たな“顔”となるのか、はたまた公共施設として活用されるのか――。市民ならずとも気になるところだ。もちろん、JTが再活用する可能性もあり得る。
1986年から36年間にもわたって筑紫野市を支えてきた工場の閉鎖は、筑紫野市にとってまちづくりの転換点となるだろう。市は22年4月1日に、市制施行50周年を迎える。新たなステージに踏み出そうとしている筑紫野市の今後に注目したい。
(了)
【麓 由哉】
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