2024年05月03日( 金 )

スペワ跡にアウトレット誕生へ 北九州開発動向2022(前)

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追加で2件の規制改革を提案も、無念の「スーパーシティ構想」

東田地区でのスーパーシティは実現ならず…
東田地区でのスーパーシティは実現ならず…

    ジ アウトレット北九州と同じ八幡東区・東田地区で、注目を集めていた動きがもう1つある。北九州市が同地を舞台に進めようとしていた「北九州市・東田 Super City for SDGs構想」だ。

 これは、国が進める最先端技術を活用する新たな国家戦略特区制度「スーパーシティ構想」の特別区域の指定に関する公募に対して、北九州市が21年4月に応募していたもの。前出のスペースワールド跡地(ジ アウトレット北九州)を含めた八幡東区・東田地区の約120万m2を舞台に、78の企業・研究機関と連携した計30のプロジェクトを挙げ、ダイバーシティ実現のスマートタウンや、スマートミュージアム、東田MaaSなどのIoTによるデータ連携・先端的サービスのほか、自動運転やドローン、ロボットなどの先端技術実証・実装フィールドなどを提案。デジタル技術を駆使することで、環境・経済・社会の好循環によるSDGsの加速化や脱炭素社会の実現を目指すというものだった。

 このときの公募には、全国で合計31の地方公共団体が応募しており、九州内では北九州市のほか、熊本県・人吉市共同や延岡市(宮崎県)の計3団体が応募。順当にいけば、この31団体のなかから、21年夏ごろに5カ所程度の区域が採択される予定とされていた。

 ところが、8月6日に開催された「第1回 スーパーシティ型国家戦略特別区域の区域指定に関する専門調査会」では、「改革の規制の規模が小さい」「大胆な規制改革が乏しかった」のほか、「データ連携基盤に基づく幅広い分野での先端的サービスの実現を目指す設計が不十分」「2030年の未来社会のビジョンの部分が、規制改革以前に描けていない印象のものが多く見受けられた」などの厳しい意見が続出。そのため、国は北九州市を含めた31団体の応募者に対して、2カ月間程度をメドに提案の見直しおよび再提出を要求していた。

 これを受けて、北九州市では10月に2件の規制改革案を追加で提出。具体的には、都市公園における円筒型太陽光モジュールを用いた太陽光発電施設に関する占用許可基準の規制改革と、高い日本語能力を有する留学生の就職に関する在留資格の規制改革の2つを提案していた。

 しかし、22年2月9日に開催された第2回専門調査会での区域選定では、北九州市を含めて再提案を行った28団体のなかから、「大阪市・大阪府共同」と「つくば市」の2団体が最終候補に残留。3月4日開催の第3回調査会での審議を経たうえで、3月10日の国家戦略特区諮問会議において、大阪市・大阪府共同とつくば市がスーパーシティの指定を受けた。北九州市が描いたスーパーシティ構想の夢は、残念ながら叶わなかった。

【坂田 憲治】

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