2024年04月27日( 土 )

七隈線延伸で注目「福岡・別府」

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福岡市城南区別府のまちの様子
福岡市城南区別府のまちの様子

「別府」の由来

 2023年3月、地下鉄七隈線が博多駅まで延伸開業することで注目を集める「福岡市城南区別府」について見てみよう。別府というまちは、西は早良市民プール横を流れる七隈川、東は六本松近くの樋井川に挟まれ、北端は旧国鉄筑肥線が通っていた「市道鳥飼通線」、南端は地下鉄茶山駅までのエリアとなっている。エリアは象の頭のようなかたちをしていることから、地域のキャラクターは象がモチーフになっているという。別府の地形は北側が平たんで、南に行くほど勾配がある。

 別府といえば、大分県別府(べっぷ)市を思い浮かべる人は多いだろう。そこで、「別府」の由来について、地域に詳しい福岡市別府公民館主事・中村恭子氏に話を聞いた。

別府公民館
別府公民館

    同公民館の別府郷土史研究によると、福岡の別府(べふ)と大分の別府(べっぷ)は同義で、「別符」が由来なのだという。別符とは別勅符田(べっちょくふでん)の略で、「功績を上げた役人に与えた土地」という意味。「別府」という地名は全国に20カ所近くあり、漢字は同じでも読み方は概ね3通りで、「べふ」(福岡市)、「べっぷ」(大分県別府市)、「びゅう」(大分県宇佐市)などがあるが、語源や由来は同じだとのこと。さらに、大宰府(福岡県太宰府市)の出先機関である「別府」が置かれていたことが由来であるとする説もあるそうだ。

延伸へ期待の声

 別府のまちの特徴として、北西部は公務員宿舎や企業の社宅が売却されたときに整備されたらしく、道路は広くて碁盤の目状になっている。その他のエリアは細い道が多く、入り組んだ場所が目立つ。国道202号線、城南学園通り沿いには家族向けのマンションが比較的多く、狭い土地にできるだけ高く建てられた細いマンションが目立つ。一方で、一歩裏の道に入ると急に道が狭くなり、戸建やワンルームのアパートが多くなる。その道の細さは、自動車では通れないと思われる場所が何カ所もあるほどだ。

 都道府県地価調査によれば、「別府5丁目」は12年7月が25.8万円/m2だったのに対し、21年7月には43.3万円/m2にまで高騰。六本松エリアの再開発の影響もあり、住宅地として人気のエリアとなっている。駅周辺ではマンション開発が盛んに行われ、福岡で高いブランドイメージを誇る積水ハウスの「グランドメゾン」シリーズの開発も予定されるなど、注目度の高さがうかがえる。

 自身も別府在住だという前出の中村恭子氏によれば、「05年の地下鉄・七隈線(橋本駅~天神南)開通で人流が変わった」という。それまでは中村学園に通う学生は大学のある別府周辺でアパートを借りていたが、地下鉄開通で西鉄大牟田線沿線が通学エリアとなり、自宅から通う学生が増えたようだ。

七隈線の博多駅延伸で期待すること

●博多駅や福岡空港へのアクセスが向上することで、旅行などがしやすくなる(別府在住・50代女性)

●六本松から勤務先の博多までバス通勤をしているが、七隈線延伸で地下鉄通勤に切り替えることを検討している。ただ、運賃が高くなるのならば、そのままバス通勤を続けたい(草ヶ江在住・50代女性)

●七隈線と空港線の天神での乗り換えが億劫だった。空港までは西新駅から空港線を使っているが、七隈線延伸で空港までアクセスしやすくなるので嬉しい。キャナルシティにも行きやすくなる(六本松在住・50代女性)

●別府橋通り(国道202号)の中村大学前交差点の渋滞緩和に期待している(40代男性)

●地下鉄の駅が遠いことからバスを利用していたが、中洲川端、博多に行きやすくなることから、六本松駅の利用も検討したい(小笹在住・50代女性)

地下鉄七隈線 別府駅
地下鉄七隈線 別府駅

【外部ライター・奥野 晃市】

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