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2016年09月21日 07:05

ベネッセHDの外部人材起用はなぜうまくいかないのか(後)

改革チームで経営に当たることが要諦

 (株)日立製作所と(株)東芝の事例がヒントになる。リーマン・ショックがもたらした世界的な経済危機で、両社は巨額赤字に転落した。2009年、新社長に日立は川村隆氏を、東芝は佐々木則夫氏を起用した。

 日立は子会社の会長だった川村隆氏が本社に戻って会長兼社長に就いた。旧経営陣を一掃。川村社長を支える副社長たちも子会社から呼び戻した。
 ここがポイントだが、子会社に出されていた副社長ら6人で意思決定できる体制を整えた。「チーム川村」で、不採算事業の整理に取り組み、業績のV字回復を果たした。旧経営陣が経営に介入することはなかった。

 一方、東芝は佐々木社長に権限を一本化することができなかった。西田厚聰氏、岡村正氏、西室泰三氏ら歴代3社長が経営に介入。西室氏はキングメーカーとして君臨した。東芝は、ことわざの「船頭多くして船山に登る」そのもの。指図する人が多くて、方針の統一がとれず、物事が目的をはずれた方向に進んでしまうという意味だ。東芝は不正会計に手を染め、自滅した。

 日立が、子会社に出された人材を本社に戻すのは、外部からの人材起用と同じ意味を持つ。そして、子会社から戻したメンバーで「チーム川村」を結成した。これが日立の改革が成功した要因と言える。

欧米ではスタッフを引き連れて乗り込む

book 欧米型の組織の特徴は、スタッフとラインを厳密に分けることにある。優秀なスタッフ、いわゆる参謀を集めてプランをつくる。ボスがそれを見て、スタッフが立てたプランのなかから1つを選び出し実行に移す。これが欧米における組織の形態と、その任務の分担法だ。
 スタッフとチームを組んで組織を運営するのが当たり前。だから、外国人をトップにスカウトすれば、彼はスタッフを連れて乗り込んでくる。

 ソフトバンクグループ(株)の孫正義社長が、副社長に招いたニケシュ・アローラ氏は、グーグルからスタッフを連れてきた。「チームニケシュ」は、本社機能を英国に移す計画を提案。法人税が安いうえに、インドへの投資が旧宗主国の英国に拠点を置くと円滑に進むと考えたからだ。日本人のスタッフはおもしろくない。ニケシュ氏と日本人幹部の軋轢を生んだ要因の1つだった。

 このように、スタッフを連れてくるのが欧米の流儀だ。原田氏が日本マクドナルドに乗り込んだとき、アップルからスタッフを連れてきた。「チーム原田」のボスとして辣腕を振るえた理由だ。しかし、ベネッセには単身で乗り込んだ。だから空振りで終わった。

 1人では何もできない。チームを組んで力が発揮できる。ベネッセに限らず、“プロ経営者”を招いた企業が失敗するのは、チームをつくらせなかったことが大きな要因だ。外部からの登用人事は、「チーム◯◯を招くものである」ことと心得ろだ。

(了)

 
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