2024年04月20日( 土 )

プラスチック屋がつくるジャンボタニシ用トラップ「スクミッチ」

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ジャンボタニシトラップ「スクミッチ」

産学連携で製品開発

 多彩なプラスチック成形技術を生かし、LEDランプなどの自動車部品から家電関連部品に至るまで、幅広く手がける大栄工業(株)。同社は自社工場を保有し、原材料開発・調達から成形、加飾(印刷・塗装)、組立、出荷輸送までを一手に引き受ける。この一貫生産システムの構築が、顧客への高品質、低コスト、即応生産のサービス提供を可能とし、メーカーとしての同社への評価につながっている。そんなプラスチック成形の専門集団が、コロナ禍をきっかけに、農業という新たな事業領域へと踏み出した――。

 「コロナ禍で、世界的に半導体不足や陽性者の発生にともなう工場の操業停止が相次ぎました。当社でも状況は同じで、コロナ禍でいかに受注基盤を維持・発展させていくかを考えた結果、選択肢の1つとして挙がったのが、農業における害虫・害獣対策支援でした」(同社代表取締役社長・干川量也氏)。

 良好な自然環境下にあるみやき町に本社を構え、40年以上にわたって事業活動を行ってきた同社にとって、農業分野における新製品の開発・普及は、地域貢献という点でも大きな意味をもつ。同社は地元農家やJAから、ジャンボタニシによる稲作被害が相応にあることを聞き、知見を得るため、佐賀大学を訪れた。

 「佐賀大学では、薬剤を使用せずにジャンボタニシを捕獲・駆除する農業技術の研究が進んでいます。佐賀大学の研究内容は、製品製造を進めるにあたり、大変参考になりました。そして、奈良女子大学の遊佐陽一教授をご紹介いただいたことで、開発は一気に進み、ジャンボタニシ用トラップ『スクミッチ』を完成させることができました」(干川代表)。

 ジャンボタニシが稲作に最も被害をもらすのは、田植え時期から6月ごろにかけてだという。そのため、2021年夏ごろに企画が立ち上がってから商品化まで、約半年という急ピッチで作業は進められた。

 こうして、産学連携によって誕生したスクミッチ。ジャンボタニシ(学名:スクミリンゴガイ)がミチミチ(満ち満ち)と捕獲できるという意味を持つ同製品が、日本の食卓を支える農家の悩みを解消する。

【内山 義之】


<INFORMATION>
ジャンボタニシトラップ「スクミッチ」

ECサイト:https://www.daiei-gr.co.jp/information

<COMPANY INFORMATION>
大栄工業(株)

代 表:干川  量也
所在地:佐賀県三養基郡みやき町白壁1964
設 立:1976年1月
資本金:1,000万円
URL:https://www.daiei-gr.co.jp

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