2024年04月18日( 木 )

莫大なカネを生む「カジノ」で激突する日・中・韓(前)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

「黄金の卵」を産むカジノ産業

カジノシティ・マカオ イメージ    「アジアのラスベガス」と言われている「カジノシティ・マカオ」は、2006年に売上高で本場ラスベガスを抜いて世界一となった。マカオはカジノ事業においてコンテンツの多様化と高級リゾートとの連携に成功し、年間3,000万人超が訪れる世界的観光地へと成長した。マカオのモデルとなったラスベガスは、1931年にネバダ州がギャンブルを合法化。以降、ラスベガスは米国最大の観光都市として「不夜城」という異名が付いた。

 このような成功例に倣ってシンガポールもセントーサ島にカジノを含む統合型リゾート施設(IR)をつくって、大成功を収めている。これに刺激を受けたフィリピン、韓国なども、IR施設の建設に取り組んだ。韓国最初のIR施設はパラダイスシティで、韓国のパラダイスと日本のセガサミーホールディングスが合弁会社パラダイスセガサミーを設立し、パラダイスが55%、セガサミーが45%出資して事業が推進された。

 セガサミーがこの事業に投資した目的は、カジノ事業の経験を積み、今後日本で展開されるIR事業に参入することのようだ。セガサミーは日本での事業展開が本格化すると、韓国事業から撤退するだろうとの噂もあったが、現在のところ、そうした動きはない。

 パラダイスシティは19年には黒字化に成功、順調な滑り出しを見せていたが、コロナ禍に見舞われ、その後、巨額の赤字をだした。ちなみに、韓国にカジノが初めてできたのは1968年で、現在、合計17カ所のカジノがある。

コロナ禍で大打撃を受けたカジノ産業

 19年12月に中国で発生した新型コロナウイルスによって、旅行業界は甚大なダメージを受けた。韓国の旅行業界の売上高は90%以上減少し、瀕死状態。旅行業界がおかれている状況はアジア通貨危機の時よりひどいという。カジノも例外ではない。韓国のカジノのほとんどは、外国人専用で、そのなかでも主に中国人や日本人などのVIPを対象として運営されていた。したがって、コロナ禍の影響が直撃したのはいうまでもないだろう。ラスベガスは売上高がコロナ禍前の水準に戻ってきており、韓国のカジノ産業も間もなく回復するのではないかと専門家は予想する。しかし、一方では、もう少し時間が必要だとする見方もある。

(つづく)

(後)

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