2024年04月20日( 土 )

「3K」イメージ払拭へ、地場ゼネコンの取り組み

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3Kの本当の意味って知ってる?

 「2025年問題」とは、2025年には団塊の世代約800万人が75歳以上の後期高齢者となり、超高齢化社会が到来する問題を指す。建設業界では、バブル崩壊後の長い不況期において若年労働力を十分に採用してこなかったこともあり、「事業や技能の継承」「若年層の人材確保」などの課題が顕在化しているだけでなく、業界につきまとう「3K(きつい、汚い、危険)」のイメージも採用難に輪をかけ、従前より人手不足が深刻化していた。

 建設業の技能者の約3分の1は55歳以上と、他産業と比べて高齢化が進んでいる。引き続き建設業が「地域の守り手」としての役割をはたしていくためには、将来の「担い手」確保が急務となる。とくに若者や女性の建設業への入職や定着の促進に重点を置きつつ、働き方改革をさらに促進し、魅力のある職場環境を整備することによって、中長期的に人材確保・育成を進めていくことが重要だ。こういった業界全体の課題について、福岡の地場ゼネコンが少し変わったところからアプローチを始めた。

 「業界のイメージを変えたい」――そう話すのは、2016年に創業100年を迎えた地場老舗ゼネコン・有澤建設(株)の木下英資社長。業界のイメージを変えるため、知人などを頼ってYouTube動画の制作を行った。「3Kの本当の意味って知ってる?」というタイトルで制作されたショートムービーは、第一線で活躍する監督や俳優が参加し、まるで映画の予告編のようにつくり込まれた高いクオリティが特徴となっている。

 21年12月の公開から再生数は伸び続け、今年4月中旬時点の再生回数は24万回超。その影響について木下社長は、「いろいろな人から『見たよ』とお声掛けいただきました。動画をつくったからといって、業界が変わるとも、当社が注目されるとも思っていませんが、イメージ向上に少しでもつながれば」と謙遜する。

 また、「イメージも大事ですが、待遇向上が最優先だと思っています。『大手じゃないから』と言い訳せず、まずは当社内で実現してまいります」と続けた。補助金(J-LOD※)を受けて制作されたこの動画は、令和2年度の採択事例としても選出された。

※企業や地方公共団体等のブランディングのために、自社等の姿勢や理念に対する顧客の共感を呼ぶストーリー性のある映像(ブランデッドコンテンツ)を制作する事業について、映像制作・発信、効果検証などに必要な経費の一部を支援するもの。

J-LODによる評価ポイント
 自社の説明も、業界の説明も一切なし。それでも、「俺たちはこんな思いを信じている!」という企業からのメッセージが詰まっている。ラストを工夫することでブランデッドコンテンツとして成立させるうまさがあり、その分、エンタメ性に富んだ自由な作品に仕上げている。

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